黒子のバスケ 総合:☆☆☆☆☆
完結している漫画が原作。原作は未読です。
第1期 2012年4月スタート。全25話。
第2期 2013年10月スタート。全25話。
第3期 2015年1月スタート。全25話。
・ストーリー
バスケットボールを舞台設定にしていますが、スポ根、とはちょっと違う感じがします。中学時代史上最強のチームを作り上げていた5人の天才。彼らの離別と激突を、天才を支えていた幻のシックスマン黒子が一貫して持っていたバスケに対する思いを胸に、高校バスケでかつての盟友達と敵として戦いプレイを通して気持ちをぶつけることで、5人の天才たちの意識を変えていく、初心を取り戻させていく物語です。
スポーツは「楽しむもの」、チームとは「個の仕事を全うすることにより強さを実現した上でなお、全員が一個の仲間として機能すること」を訴えています。昔、新日鉄釜石のスタンドオフ・ミスターラグビーの松尾雄治氏が「チームワークとは仲良しこよしのことではない。それぞれがそれぞれの仕事をきちんとこなすことで機能するもの」と言っていましたが、高校の部活はプロではない、スポーツはまずみんなで仲良く楽しむもので、その前提の上に全てが成り立つ、ということを75話の中で一貫して提示しています。
この75話は高校の1年間しか描いていませんが、必要にして十分でした。
・演出
登場するプレイヤーがキャラとしても個性的で、得意とするプレイスタイルもそれぞれ個性きわだつ特徴を持っていて、それがぶつかり合う。相手の必殺技に必殺技で上書きし、それをまた相手が必殺技で対抗する、という手法は、展開の先が読めずハラハラドキドキします。こう言った手法は最近見ている「ジョジョの奇妙な冒険」でもそうですし、ある意味、少年漫画の王道的な演出です。使い古されてはいるものの、それでも王道は王道です。やっぱりしっかり面白いんです。
ゾーン。これ、魔法のように演出されていますが、しっかり昔っから認識されている、トップアスリートが到達できる境地です。これを有効に使っているのも面白いです。野球の神様・川上哲治が「ボールが止まって見える」と言ったのと同じ感じでしょう。星飛雄馬の魔球ほど突飛ではないけれど、実際にあるものをデフォルメ化して物語として面白く表現している演出は見事だな、と思いました。
昼行灯のようでいて、実はすごいんです、というギャップのあるキャラクターが好きな自分にとって、この黒子君、むちゃくちゃお気に入りキャラです^^
まあ、巨人の星ほど、現実離れした魔球とかが出てくるわけではないものの、それでも超人的なスペックを持ったプレーヤー同士の戦いなので、展開も含めて、リアリティを求める方には厳しいかもですね。野球漫画でも、ちばあきおさんの「キャプテン」やあだち充さんの野球漫画シリーズは割とイベントも大人しめでリアル志向。巨人の星や侍ジャイアンツ、アストロ球団、まあ、あとドカベンみたいに、お話としてリアルよりも迫力重視で、劇的で面白い方が娯楽として楽しめる、という方にはオススメです。
・作画
バスケットボールのプレイシーンはとても迫力があります。もちろん一枚絵を挟む場合もあるのですが、要所要所にモーションキャプチャーではとても表現しきれない、アニメならではの作画がこのアニメの真骨頂です。安定していますし、円盤買っても後悔しないレベルではないでしょうか。
・音楽
悪目立ちすることもなく、それでいて、試合中の緊迫感をうまくお膳立てしているなあ、と思いました。OP/EDは人それぞれでしょう。
・演技
女性の登場人物が少ないこの作品は自分にとって鬼門ですが、それでもこの個性派キャラクター達を違和感なく演じてくれているので、安心してみて入られます。原作未読なので、原作好きの人から見るとどうなのかな、と思わないこともないのですが、十分許容範囲に収まっているのでは?と思います。
SLAM DUNK、黒子のバスケ。このバスケアニメ両巨頭はやっぱり抜きんでていますが、完結らしい完結をしている黒子のバスケの方が、自分は好みです。