「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。(以下、あの花)」は2011年4月スタートのオリジナルテレビアニメ。A1-Pictures制作。11話完結。
舞台は飯能。ヤマノススメと言い、すごくいい街に感じちゃいます。
超平和バスターズの小学生仲良し6人組。ちょっとしたトラブルがきっかけで、一人の女の子を失ってしまう大きな事故につながってしまいます。この事故の後、残された5人は離れ離れになっていきます。
そして時は過ぎ、高校1年生になった主人公の前に、死んだはずの女の子が突然現れます。
女の子は主人公に「願いを叶えて欲しい」と言うのですが、どんな願いだったのか、覚えていません。主人公は、もう離れてしまっていた超平和バスターズのメンバーを巻き込みながら、女の子の願いを探し始めます。
・演出
正直、手放しでの☆5では無いのです。
脚本の岡田麿里さんは自身の体験も踏まえ、登校拒否児は魅力的なキャラクターになりうるか、というモチベーションでこの作品を書き上げたようですが、ちょっと深刻すぎる感じがしていて、完全に主人公に感情移入するまでには至りませんでした。ちなみに自分も一番ひどい時の高校1年1学期は、ほとんど登校した記憶がなく、出席日数不足で単位を落としています。大学も結局行かなくなって中退ですからね。ただ、そんな当時でも、ここまで自分を脚色したことはなかったです。自分よりずっと、引きこもりや不登校に悩まされている人がいるのだろうと理解はできますが、それをあまりに強調されてもなあ、と感じてしまいました。この点に関しては同じ超平和バスターズ名義の「心が叫びたがってるんだ」の表現の方に好意的です。
それでもなお、このアニメを☆5にした一つ目の理由は、ヒロインの演出が通常で表現される死せる者とは違う形で描かれていたからです。主人公が自分の心で作り出した幻覚、つまりヒロインの偽物なのか、それとも、本当に本物なのか。ヒロインの叶えて欲しがっている願いが、主人公の願いなのか、それともヒロインの願いなのか、これを最後まで明らかにしない物語の進め方が見事だと思ったから、です。
もう一つは、超平和バスターズの他の4人が、主人公と同じような傷を持ちながらも、同じように叶えられないとわかっている願いを持っていながらも、それでも前に進んできていて、彼・彼女らの主人公とは違うわだかまりへの向き合い方とその結末に魅入られたから、です。
・作画
田中将賀さんがキャラデザインと作画監督。テレビアニメながら大きな破綻もなく、安心して観られます。
・音楽
OPは飛ばします。EDは必ず聴きます。
ED(secret base 〜君がくれたもの〜)、同じパートでハモってるバージョンとソロになっているバージョンがある様に聴こえたのですが、「なぜ」を含めてちゃんと検証していないです。声優(茅野愛衣さん、戸松遥さん、早見沙織さん)が歌っているのにユニゾンじゃなくてハモっている楽曲って珍しいと思います。お三方の綺麗なハーモニーがEDを飛ばすに飛ばせなくしています。この楽曲、記録的にカバーされているみたいですが、歌いやすく、聴きやすく、綺麗な旋律なので、納得です。
サントラでは要所に使われているピアノ曲がシーンをとても盛り上げています。
・演技
ヒロインは茅野愛衣さん(しかしすごい仕事量ですね、この方)。サブヒロインには戸松遥さんと早見沙織さん。子供時代の男性キャラに田村睦心さん、瀬戸麻沙美さん、豊崎愛生さん。男性陣は入野自由さん、櫻井孝宏さん、近藤孝行さん。揃いも揃いましたね。ちょっと鼻につくセリフも演出も、演技力でねじ伏せてくれます。脇役の大原さやかさんも今作は役柄に合ったたおやかな声であてられていて特に良かったです。
幼い子供の死の設定は、やはりどうしても、悲しくなります。またまた自分ごとですが、15才の時に、小学生時代からずっと一番仲のよかった二人の友達のうち一人を病気で亡くしています。事故よりトラウマは少ないと思うのですが、それでも、この手の話を観ると、ついつい思い出してしまいます。
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