四月は君の嘘 総合:☆☆☆☆☆
両作品とも漫画が原作で完結しています。
「ピアノの森」は来年1月から第2期が始まることが決まっており、原作の途中、ショパンコンクール一次予選までが描かれています。漫画は3巻まで既読です。劇場アニメは未視聴です。
「四月は君の嘘」は漫画通り、アニメも2クールですでに完結しています。漫画は既刊全巻既読です。実写映画も視聴済みです。
ピアノの演奏家を主人公にしている点で両作品とも共通しており、このほかでは「のだめカンタービレ」が有名ですかね。「のだめ」は実写の演出や上野樹里さんが良かったです。漫画は全巻既読ですが、アニメは観ていません。
音楽漫画は音楽をどのように画や台詞で表現するかで面白さが変わってきますが、曲そのものが流れていると、もっとスッキリするだろうな、と思うこともしばしばです。しかし、アニメ化するにあたって、漫画での表現を、そのまま演奏として表現することができなければ、漫画の面白さをスポイルしてしまう結果になるため、むしろアニメ化には難しさが伴うのかもしれません。
・ストーリー
「ピアノの森」
誰にも弾くことができない森の中のピアノが、夜になると勝手に曲を奏でる、という謎めいた雰囲気から始まります。この壊れたピアノをただ一人弾ける少年が、その天性に将来を嘱望されながらも不幸な事故により落ちぶれていた小学校教師と出会うことで、才能を開花し、世界へと羽ばたいていく物語です。
つかみは素晴らしかったのですが、劣悪な環境で生まれた少年が、ピアノを通して成長していく過程やピアニストとして成長していく過程について、アニメではさらっとしすぎていて、いつの間にかそうなっちゃたのね、という感じです。
演奏の表現も、玄人好みの批評が多く、インパクトにかけ、なんだか、いつの間にか上手くなって、いつの間にかコンテストで人に感動を与えているぞ、よくわからないけど。でも、そもそも、もともと天才だったんじゃなかったっけ?この子。てな感想になってしまいました。ライバルも出てくるのですが、なんか単なる当て馬みたいで。ピアノでのライバルヒロインも印象は薄く、「四月は君の嘘」でのライバルやライバルヒロインのような強い個性に及ばないのも残念です。
「四月は君の嘘」
ピアノを弾けなくなったコンテスト特化型の元天才少年が、作曲家を無視してヴァイオリンを弾く一人の謎の少女と出会うことで、自分を取り戻し、さらなる高みへと飛躍するストーリー。また、幼馴染の女の子との微妙な三角関係を絡めながら進む、切ないボーイミーツガールの物語になっていて、こちらがメインストリームと言って良いかもしれません。
演奏の表現に、色を使ったのは非常に効果的でした。ヒロインがピアノ弾きではなく、ヴァイオリニストであることも、演奏と恋の行方の相乗効果を引き出していました。
ストーリーに関しては文句なく☆5です。
・演出
「ピアノの森」は、アニメである必要性は、それほど感じません
「四月は君の嘘」も、本当なら、実写でもなんとかなりそうなのですが、相当な制作陣と芸達者な役者が必要だったのではないかと思います。実際、実写映画は。。。。。。。上野動物園にパンダを見に行ってきましたが、寝てました、て感じですかね。
アニメ「四月は君の嘘」の演出はアニメの表現を十分に生かしていたと言えると思います。ピアノの演奏そのものを理屈で説明しているだけではない原作の勝利ですかね。
やはり、演奏の力だけで、音楽モノをアニメ化するのは難しそうです。プラスアルファの表現が必要なんだなと思いました。
・作画
演奏シーンがリアルで素晴らしい、と評された「四月は君の嘘」ですが、技術の進歩は凄まじく、後発の「ピアノの森」の自然さ滑らかさには、どうしても劣って見えてしまいます。ただ、アニメ本来の魅力に、この演奏シーンの優劣は、あまり影響していないのではないでしょうか。
・音楽
クラシックですからね。年月という荒波を耐えて今に残った作品群にケチのつけようはありません。ピアノの森のエンディング曲は良かったです。悠木碧さんです。劇中に出てたっけ?と思ったら、便所姫役で出てました。相変わらず気づけません。
・演技
「ピアノの森」
安定のキャスティング、て感じでしょうか。
「四月は君の嘘」
主人公役の花江夏樹さんは「ピアノの森」ではライバル役もやっているんですね。
ヒロインの種田梨沙さん、ライバルヒロインの佐倉綾音さん、共に好演しています。
ピアノでのライバルとして早見沙織さん、気合の入った演技もさすがですね。
他にも実力者が多く出演しているのですが、見た目もパッとしないし恋愛経験なしのクールなBL好き、それでいて、ちょっとしたスパイスを足してくれる柏木さん役の石上静香さんが気になっちゃいます。今度ちゃんと書きますが、ダリフラエンディング曲集Vol2でのソロの歌唱は、vol1の山下七海さんの時と同じように、ちょっとびっくりするくらい素敵でした。ライブ聴いてこその歌唱力、とは思うんですが、いい意味で意表を突かれました。
そもそもピアニストが主人公ということで同列に並べてはみましたが、根本的に両作品のテーマは異なっていて、ピアノコンテスト物語とコンテストを媒介としたラブストーリーとの違い。楽しめる要素の多く詰まった後者の方が、面白く観られるのではないでしょうか。
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