時をかける少女 総合:☆☆☆☆
2006年マッドハウス制作のアニメ映画。監督は細田守さん。
原作は筒井康隆氏の小説。筒井氏にしては非常に珍しい普通のSF。自分的には野坂昭如氏の「火垂るの墓」と筒井氏の「時をかける少女」の両作品が、作家の顔、言動、行動、他作品を思い起こすと想像できない作品の双璧。
原田知世さん主演の実写版も公開時に観ている上に、BDも所有。
とにかくタイムリープものは好きなんですね。
「未来から来た少年に巻き込まれ『時をかける』ことになった少女の学園生活と少年との恋模様」というプロットは全作品共通だけど、このアニメにおいては、細部のエピソードなど99%が原作とは異なっています。40年の時の洗礼を受けてなお生き残った原作をリビルドしたってところでしょうか。
・ストーリー
思いがけないきっかけからタイムリープ能力を手に入れた少女が、ゲームをリセットするような感覚で、ちょっとした不都合な出来事を無かったことにしていくうちに、そのしわ寄せで不幸を被る人たちがいること、一瞬一瞬の大切な出来事に正面から向き合えなくなっていること、に気づいていきます。些細な出来事が雪だるまのように膨らみ、重大なことになっていく中で、彼女が選択する未来の物語です。
・演出
後続のサマーウォーズの原点ですからね。みやすい絵。青い空、白い雲。等身大だけどアニメらしい動き、見応えがあります。ただ、背景と動画がズレて見えるなど、一昔前のアニメな感じはします。大勢のモブキャラのアンシンクロナイズドされた個々の動きなんかは、だいぶリアルになってて良いんですけどね。
俳優さんに演じさせているのはこの作品も同じ。アニメの動きや表情とマッチしていないように感じるんです。あえて、配役を見ないようにして視聴するのですが、どうにもやっぱり変。仲里依紗さん、可愛いし、TVドラマ「神の雫」とかでも好印象なんですが、アニメの声を当てるとなると、やっぱり違うんじゃないかなあ。そんな中で、ヒロインが繰り返しぶつかる「おばさん」の人は、ちょっと別次元にうまいな、と思って視聴後に確認してみたら、キャストの中では数少ない本職の声優さんでしたね。サザエさんの花沢さんやバカボンを演じてた人。どうりで。個人的にはちゃんとしたキャスティングをしてくれていたなら、さらに良い作品になっていたと思うです。アフレコの時に登場人物をみんな集めて収録するとかのこだわりを持つくらいなら、まず、プロを使いましょうよ。
・作画
でも、なんか、そもそも、ジブリの分家って感じなんですよね、細田監督の作品て。
・音楽
やり直した未来に変奏曲(ヴァリエーション)を使ったのは良いですね。それもゴルドベルグ変奏曲。最初はアリアで、最後もアリアで、ナイスです。
・演技
山本圭子さんにつきますねw
しかし、この子、未来に飛ぼうとはしないんですねえ。未来に飛ぶことはアインシュタインの理論で実行可能が証明されているのに対し、過去に飛ぶことは今の所困難なんですよね?ま、それだけ、やり直したい、という需要の方がある、ということでしょうか。
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