2018年11月17日土曜日

刀語

刀語 総合:☆☆☆☆☆

西尾維新原作。
ちょっと悩んだんですが、12話を観終わってすぐに、もう一回最初から観たくなったので☆5で。ちなみに1話50分なので、尺としては2クール分。2010年1月から1ヶ月に1話の割合で1年かけて放映されました。

・ストーリー
刀を使わない刀術・虚刀流の7代目当主・鑢七花。その特別な流派の力を求めてやってきた将軍家直轄預奉所軍所総監督の「とがめ」。「とがめ」の依頼に応じ、天才鍛治・四季崎記記の作った12本の刀を集める旅に出る。父と姉しかいなかった島育ちの山猿・鑢七花が「覚悟も無くとがめに従い」「覚悟を持ってとがめに従い」「なんのために戦うのかを自問する」旅を通じて、人らしくなっていく物語。

・演出
鑢七花の人としての変化、七花と「とがめ」との関係の変化が、12話を通じて少しずつ変わっていく演出が見事。印象的なセリフが印象的な場面で印象的に繰り返されている演出がとても良くて繰り返し観たくなります。シリーズ構成は上江洲誠さん。また、エンディングが潔いのが良いです。どうしても「BEATLESS」「ReLIFE」「多田君は恋をしない」などなどなどの、最後の最後に観るものにおもねるような煮え切らない終わり方より、好感度は断然上がります。
先行して連載・アニメ化された化物語に比べると台詞回しも原作に割と忠実。右衛門左衛門が周りに比べてどうしてそんなに強いのかにちょっと違和感あったけれど、物語シリーズに比べ、総じて、やり過ぎていない演出は、個性は抑えられてしまう反面、ストーリーに集中させてもらえるので良いやり方だと思います。

・作画
キャラクターデザインがのっぺりした感じだけれど、しっかり描き込まれた背景からみて、作為的なのでしょう。そもそも物語が優秀でそちらにまず引き込まれるし、シーンに合わせた表情の描きわけもしっかりできているので、作画が邪魔していません。むしろこの作画による表情の表現が物語を助けているとさえ言えます。アングルなんかもなかなか素敵で、自然と当初感じるキャラの違和感はなくなります。アクションも静止画交じりな部分も当然あるのですが、効果的に使用しているので、テレビアニメとしてかなり良いのではないでしょうか。ただ、7話だけ、なんかクオリティが下がって見えます。

・音楽
結構違和感あったんですよねえ。ひょっとしてリージョンBだと音楽の著作権の関係とかで、ヨーロッパで新たに作った曲が使われているのか?と思ったくらい。
挿入歌に西田社中が使われている曲があるのですが、これはやっぱり個性際立ってますね。良いです。

・演技
苦手な田村ゆかりさん。だが、ここでは非常に良かったです。つまり、昔の方が良かったような気がしないでもなくもない^^;
主役の細谷佳正さんも感情を読ませない(意識してボケているのか天然ボケなのかわからない)不穏な空気の序盤から、一部そう言ったところを残しながらも後半につなげる変化の演技がとてもうまいと思いました。あまり上手って感じの人じゃないんですけど、要所で締めてくるんですよね、通常とのギャップの使い方が見事なんですかね。
ナレーションは池田昌子さん。この方の表現力のおかげで、NHKの大河ドラマのような、品のあるアニメになりました。
化物語のようなとんがったところがないように見えるのは、逆に化物語の個性が強すぎるんでしょう。比較しないで冷静に見れば、十分個性的。

ブルーレイ リージョンB ボックス2,700円で購入。日本語だとフランス語字幕は消せない。
リージョンBを日本で購入するのは、ブルーレイのコピーガードの思想からいえば紳士的ではないとは思いますし、製作に申し訳ない気もするんですが、日本版ボックスとの価格格差が激しすぎて、なんかちょっと残念です。その分、色々な不便さや、特典のなさを受容しているとはいえ、それが製作の思惑通りであるのならいいのですが、きっと想定外、なんでしょうね。

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