2018年12月19日水曜日

甘々と稲妻

甘々と稲妻 総合:☆☆☆☆

2016年7月放映スタートの全12話。
漫画が原作。この原作、好きなんですよね。既刊既読です。原作ではちょっとロマンス風味もあるのですが、アニメではそこのところは少し控え気味です。河原和音の漫画「先生!」は完璧「高校教師」と同じ世界なのですが、「甘々と稲妻」では良識と節度ある二人がお互いを思い遣っている雰囲気がいい感じです。料理漫画の分野に分類されるような設定も功を奏しているのかもしれません。
さて、アニメでも笑いあり涙あり。
笑い方面では、ギャグアニメじゃ無いのですが、小さい子の考えること、言うことはなんか可愛くておかしい、て言う類の面白さです。
涙ありの方は、NHK「チコちゃんに叱られる」で「なんで歳取ると涙もろくなるのか」の回で、大竹まことがファミレスだったかで、なみなみと注がれたコップをお盆の上に乗せてちっちゃい女の子がこぼさない様にそーと席まで運んでいるのを見て号泣した、と言っていましたが、まあ、クレイマー・クレイマーとか、そういうのを観て涙が止まらないような子育てから何から一通り経験した大人が観ると、このアニメに出てくる主要3キャラクターの健気さに胸を打たれる、と言う感じのものです。

・ストーリー
半年前に妻を亡くした高校の数学教師。彼には忘れ形見の一人娘がいました。二人はお花見に出かけますが、周りの人々が歌えや踊れの宴の中、涙をこぼしながら一人ぼっちでお弁当を食べている女の子と出会います。彼女は料理屋の娘だと名乗り、お店の名刺を手渡します。数日過ぎたある日、彼が家に帰ると料理番組を見ていた娘が「おとさん。ママにこれ作っててお手紙して!ママ、これっくらいお肉美味しく作ってくれるかなあ」。彼は矢も盾もたまらず、お店の名刺を頼りに娘に美味しいご飯を食べさせたいと出かけていくのですが、お店は閉まっていて、花見で出会った女の子だけがそこにいました。女の子は二人になんとか美味しいご飯を食べさせたくて。それが、3人のご飯の会の始まりでした。

・演出
原作を少しスリムな感じにしてテーマの輪郭をはっきりさせたのは良かったと思います。けど、12話で、終わっている感じがしないのは減点でしょうか。ただ、連載中の漫画が原作の雰囲気を壊さず終わるためには仕方のない演出だとも思います。

・作画
細かい所作のアニメーションが自然で良いですが、総じて普通な感じです。

・音楽
OP/EDは可もなく不可もなく、サントラは良いんじゃ無いでしょうか。

・演技
見始めてすぐは、正直原作のイメージに対し声に違和感がありました。早見沙織さんが登場した位からでしょうか、1話後半にはすっかり物語の方に惹き込まれていました。
もちろんキャラデザインの助けもあるのでしょうが、同じ様な声色なんだけど、しっかりその登場人物になりきって聞かせる早見沙織さん、中村悠一さんの「劣等生」コンビの演技はさすがです。唐沢寿明さんが「白い巨塔」「小早川伸木の恋」と立て続けに性格の異なる医師の役を見事に演じ分けていたのと同じすごさを感じました。
そして、全てのアニメに出ているのでは無いかと錯覚させる茅野愛衣さん。透明感のある声、と言うより透明な声で、茅野さんだと意識させず、どんな役にでも自然に溶け込める方ですねえ。
娘役は11歳の遠藤璃菜さん。泣き方も上手、可愛い女の子をしっかり演じています。

とにかく健気です。

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