キノの旅 総合:☆☆☆
旅対決。SF vs ファンタジー。星はちょっと辛め。それぞれ、☆一つづつ増やしてもいいかな。少女終末旅行の原作は漫画で、アニメとほぼ同じ時期に完結しました。若干、アニメを見終わった時の印象と漫画の読後感は異なりますが、ほぼほぼ原作通りに進んでいます。全巻既読。キノの旅の原作はライトノベル。全巻未読。
・ストーリ
少女終末旅行のこの世界観は完全オリジナル、と言っていいのではないかな。二人だけの世界が淡々と進み、二人だけの世界で完結します。飛び入りはあるものの、その飛び入りが、二人だけの世界をむしろ強調しています。世界は物悲しく静かで冷たいけど、生存の為のみに旅をしている彼女らの、テンションの低い明るさが、その世界には丁度良く、ケッテンクラートのゆったりとしたエンジン音と共に、雪に穏やかに吸収されていくようです。作品の中では、戦争を起こした人類へのメッセージも伝えられていますが、押し付けがましさはなく、よくよく考えれば相当不幸な境遇下である彼女らへの共感に、自然に置き換えられていきます。
キノの旅は、イソップ物語でしょう。なるほど、と思えることもあれば、それは説教くさいな、と思う場合も、人によってはありそうです。マシンを擬人化していますが、はじめこそびっくり違和感ありまくりで、そこが狙いか、と思ったものですが、最後には、喋る相棒がマシンである必然性をあまり感じられなくなったのが減点です。むしろ少女終末旅行の物言わぬケッテンクラートの方が、より雄弁に語りかけてきます。
・作画
少女終末旅行の原作の線の細さは飛び切りだけど、気持ち太くして、アニメとしてみやすくしているようです。絵柄がアニメ向きなのか、動画も違和感なく安心して観られます。
キノの旅は安定の一言。
・音楽
サントラは背景かな。この2作品もOP/EDが、なかなか。
・演技
水瀬いのりさんは今、あちらこちらで大活躍中ですが、ここでも良い仕事してますね。相方の久保ユリカさんとの相乗効果で、原作を読んだ後でも、この二人が作るアニメ「少女終末旅行」の世界に違和感なく溶け込んでいけます。飛び入り参加する一人、一体、一匹役の声優さんたちも、演出が上手いのもあるのか、世界をあるべき方向に広げてくれています。石田彰さん、花澤香菜さん、三石琴乃さん、梶裕貴さん、島本須美さん。中でも花澤香菜さんのヌコが可愛い。どんなアニメのどんな役でも、その存在感でその場を染めてしまう力量はすごい。
キノの旅のキノ役は、絶賛・悠木碧さんです。もはやコメント不要。花澤香菜さんと悠木碧さんはアニメ「三月のライオン」で共演していますが、悠木碧さんはいじめを行う悪役をこなしています。もうねー、女ゲイリー・オールドマンかと思っちゃいます。
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