2018年5月16日水曜日

恋は雨上がりのように vs ヴァイオレット・エバーガーデン

恋は雨上がりのように        総合:☆☆☆☆
ヴァイオレット・エヴァーガーデン  総合:☆☆☆☆

本来なら、特に「恋は雨上がりのように(以下、恋雨)」はTVドラマ「ポケベルが鳴らなくて」あたりを連想するし、大抵はそういう禁断の恋を楽しみに、この作品に興味を持つと思うのですが、筆者はそのような単純な年の差恋物語とは違うものだと思っています。保護者的な男性への想いを足場にして、未来へ羽ばたいていくことを両作品は描いていると筆者は感じました。
はっきり悲恋な分、微妙に「ヴァイオレット」の方が好きかな。「恋雨」も原作の雰囲気を壊さずにうまくアニメ化していると思います。「恋雨」は☆3に近い☆4、「ヴァイオレット」は☆5でもいいくらい。でも、円盤までは買わないだろうなあ。
「恋雨」は漫画が原作。完結済み。完読済み。イベントは原作通りなのだけど、ラストでお話が少し変わった気がします。
「ヴァイオレット・エヴァーガーデン(以下、ヴァイオレット)」ラノベ。未読

・ストーリー
「恋雨」
立ち止まっていた二人が出会うことで、自分が本当にやりたかったことを思い出し、前に進んでいく物語です。あまり違う世界線を見せず、ここに集中した伏線をもっとちゃんと張っていたり、友情の方を最初からあと僅かでも丁寧に描いていると、より楽しめる作品になったのではないでしょうか。
店長のセリフがいろいろな文学の引用だったり、示唆に富むメッセージだったりするのだけれど、その場面や心境にあっていて、いやらしさを感じないのが良いです。
「ヴァイオレット」
戦闘機械としてしか生きられず、心を持たなかった少女が、戦う必要がなくなった世界で、上官の残した「愛してる」の意味を探し求めていく中、全てにおいて依存していた上官に対する気持ちを心に残しながらも、戦争の悲しさを知っていくことで、独り立ちを果たす少女の成長、残してきた気持ちの本当の意味を理解し心そのものを取り戻していく様子を描いています。不幸な少女に、なんとか幸せになってほしい、と見続けていくことになるのですが、それは、ある意味叶えられていくことになり、それが、心に残る読(視聴)後感になっていると感じました。
甲乙つけがたいストーリーです。

・作画
「恋雨」は普通のアニメ。破綻もなく安定して見られます。
「ヴァイオレット」は少し変わった絵柄。好き嫌いは分かれるかもしれません。原画も動画も安定していて、安心して見続けられます。アクションも普通のセル画なんですがとても良いです。

・音楽
「恋雨」OP/ED とも良いのですが、EDが特にお気に入りです。二人の平行線を表す悲しげで綺麗な曲が多いです。
「ヴァイオレット」
普通に場面を盛り上げてくれる安心の楽曲群です。

・演技
「恋雨」の平田広明がなかなか。アニメでもよく聞く名前だけど、スーパーサブ的な位置付けの人ですよね。ただ、外国映画の吹き替えの世界ではスーパースターで、ジョニー・デップの主吹き替え者です。確かな演技力が、下世話な恋物語とは違うものにしてくれています。ヒロインの渡部紗弓さんはあまり表舞台に出てきていなかった人のようです。まあまあ。
「ヴァイオレット」
脇も充実してますね。ヒロインの石川由依さんといえば、ミカサ・アッカーマンとなると思うのですが、ここでは心のない人形を一言一言を丁寧に語りかけることで、ヴァイオレット・エバーガーデンその人になっています。



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