色づく世界の明日から 総合:☆☆☆☆
P.A.WORKS制作のオリジナルアニメ。2018年10月スタート。全13話。
ちょっと辛めな気もしますが、いつものPAからするとちょっと奥行きが、という感じがあったので、普通に秀作の位置で。
・ストーリー
2078年。魔法使いの家系にありながら、魔法をうまく使えない高校2年生の月白瞳美。彼女の瞳は色を見ることができず、世界は常にモノクロでした。周囲にもうまく溶け込めず何事にも消極的になっていた彼女でしたが、時間魔法さえ操れる強力な魔法使いの祖母・琥珀に、当時の自分に会ってこいと、60年前に飛ばされます。そこで出会った同い年の男女に受け入れられ、徐々に本当の自分を掴み取っていく過去での生活が始まります。
・演出
色が突然失われる演出が、ヒロインの心情をうまく表していました。唯一カラーとして観ることができたものをキーとして、それがどんどんと広がりをみせていくことで、彼女の心の扉が開いていく演出もとても綺麗でした。そのキーとなるものに深く関わっていた男の子と、最初はかなり開いた所から始まった距離の詰め方も、彼女の成長を見せるために一役買っていましたね。そして何より魔法が綺麗でした。魔法という非日常を日常として受け入れられる世界を舞台にしていたため、タイムトラベルをしているヒロインの立場を異端として弾くことなく観ている方にも納得しやすくした設定もスマートだと思いました。
・作画
劇場用アニメ並みのクオリティです。
時折、新海誠監督作品並みに描き込まれた風景がすごかったですね。作中で出てくる絵画や写真のクオリティもとっても高くて、美術担当が遺憾無く腕をふるっています。
・音楽
OP/EDそしてサントラも綺麗です。特にOP曲はフルコーラスで聞くと良さがもっと伝わってきます。
・演技
自分に自信がない瞳美役に石原夏織さん。弱々しい声があってますね。でもだんだんと笑顔が増えていくにつれて、話し方が自然になっていく様子をうまく演じられていたなあ、と思います。月白琥珀には本渡楓さん。声音を変えないんだけど、やっぱりうまいですね。何色にも染まらない美しい声が、キャラクターの声として自然にマッチするんでしょうね。特に生き生きとした女の子をやらせると相性抜群です。そのほか、市ノ瀬加那さんもダリフラ・イチゴ役と違って引っ込み思案の女の子を、東山奈央さんが元気な女の子をそれぞれ演じて、ヒロインたちを助けていました。さらに、大人の女性役に、島本須美さん、大原さやかさん、潘恵子さん、本田貴子さんらが脇を固めて、物語に自然に入り込める環境を作ってくれていました。男性陣も自然で良いのですが、いつもは一風変わった諏訪部順一さんの普通を聞けたのが特に良かったです。
魔法とアニメは相性が良い。
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