百錬の覇王と聖約の戦乙女 総合:☆☆☆
最近は、戦乙女をヴァルキュリアと発音するようになりましたね。自分はワルキューレの方が馴染み深いのですが。
現在進行形のライトノベルが原作。2018年7月スタート。12話完結。
☆4に近い☆3です。怒涛の転生もの。原作は未読です。原作はかなりの悪評ですが、ハーレム状態なのが気に障ったり、あまりのチートっぷりに辟易したりされているようです。ただ、演出で書きますが、自分はこのお話、嫌いではありません。
・ストーリー
秘法と「対の鏡」の存在により、北欧神話の世界と思われる過去に飛ばされた勇斗。スマホで現代の世界とつながることにより、チートな武器、戦術を駆使して、「狼」の氏族を束ね、周辺地域に勢力を拡大していく物語です。また、勇斗が元居た世界、想い人・美月の元へ帰る方法を模索する物語でもあります。
すでに、飛ばされて宗主として活躍しているところから始まっており、どうしてそうなったのか、すでにいる腹心の戦乙女との馴れ初め、なぜチートなのか、などの謎は作中で徐々に語られる形式です。
もうちょっと行く末を見てみたいな、と思いますが、連載中の原作を1クールで仕上げている点を考えると、割と上手くまとめられている方じゃないかなと感じました。
・演出
冒頭で書いた通り、嫌われるのには理由がある、と思いますが、それを相殺して面白いと思える理由もあります。単に、チートで俺最強、魅力的な女性に取り囲まれる至福の時、を味わえるから、ではありません。この主人公とメインヒロインの性格にあります。表題では覇王とありますし、ハオー(極東の小覇王)を名乗る自分には興味津々の題名なのですが、覇王とは覇道で世界を治める人です。力づくで世の中を平らげるのが覇王です。しかし、この作品の主人公やメインヒロインは王道(仁と義、思いやりと正しい行い)で世の中を治めようとしています。意識しているわけではなく、持って生まれた性格です。三国志演義で盛んに説かれている「徳」の重要性。劉備玄徳の最大の武器でもあり、暴虐非道といわれる曹操でさえ、もちろん孫権にも、さらに「項羽と劉邦」で覇王・項羽が滅び劉邦が天下を平定し得たテーマ「徳の有無」、これなくば、人を率いることはできない作中で言うところの隠された必須エインヘリアルを、この二人が持っていることが、このアニメを嫌う理由がないものにしています。身の程を知り謙虚でいる人に、自分は大いに好意的なのです。ゆえに、☆4に近い☆3の感想です。
ただ、どうしても☆4に踏み込めなかったのは、BDに焼いて繰り返し観てみたいと思うか、と問われると、一度観れば十分印象として残ったな、と良い意味でも悪い意味でも感じたアニメだったから、です。
スマホで繋がる設定や根拠に納得がいきづらかったり、勢力拡大の戦略と結末や、元の世界に帰る方法と結果が、理由になっているようななっていないような、割とアッサリ解決している点も、あまり評価されていない理由かもしれません。「魔法科高校の劣等生」や「幼女戦記」のような俺最強ライトノベル・アニメにはあって、こちらにはないもの。緻密で説得力のある設定でしょうか。
・作画
女の子たちは可愛いんですが、アクションが凄まじく良かったとか、そういうことはなく、今時としては普通の中の普通な感じの作画じゃないかなと。これは、演出の問題なのですが、特に、ハンマーvs日本刀の対決の表現が、あまりリアルじゃない点は、少しがっかりしています。
・音楽
普通にシーンを盛り上げてくれています。
・演技
役柄に合わせて、みなさん上手だったんじゃないでしょうか。特に気になるところはありませんでした。強いて良い点を挙げるとすれば、悠木碧さんと竹達彩奈さんコンビ「実は切れ者vs天然ボケ」の凸凹演技ですかね^^。エンディングも二人のユニットが歌っています。PV観ると悠木さんは表情も演技派でサービス精神に富んでいますが、竹達さんは割と素のままなんですね。
この作品でも「月が綺麗ですね」のセリフが出てきます。夏目漱石、自分の最も好きな作家ですが、ライトノベルでもアニメでも、その詩的な表現が好まれ引用されるとは、死んで100年以上経ち、時の洗礼を受けた今もなお、絶大な影響力、ですね。
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