2019年2月6日水曜日

SHIROBAKO

SHIROBAKO 総合:☆☆☆☆☆

アニメって総合芸術だってことがわかるアニメです。
お仕事シリーズの中で、自分にとって、特に緊迫感があり、身につまされ、胸が苦しくなるのは、このSHIROBAKOでした。他の2作品も相当レベル高いのですが、他作品は若干展開が強引だと言うこと、この作品が一番リアリティに溢れていると感じられつつ、アニメらしい演出が上手に絡められていたことから、この3作品の中で、あえて一つを選ぶとすればと考えた結果の、SHIROBAKO ☆5です。
P.A.WORKS制作のオリジナルアニメ。2014年秋スタート。全24話。
P.A.WORKSお仕事シリーズ第2弾。他の2作品「花咲くいろは」や「サクラクエスト」らの展開が、期せずしてやらざるを得なくなった仕事の中での自分発見、だったのとは異なり、もともと持っていた自分たちの夢を実現していく物語です。
自分も色々な仕事をやりましたが、プロジェクト型の仕事が好きでした。アニメ制作もプロジェクト型で、これを観るとアニメの仕事は自分の専門だったシステム開発より、はるかに複雑な工程と進行で成り立ってるんだなあ、と感心します。それでいて、もう自分は、システム開発の殺伐とした雰囲気には戻れませんが、アニメの現場には何か夢があって、いつまでも夢を追えそうなのが羨ましいです。平岡みたいなのが本当なのかもしれませんし、漫画「アニメタ!」なんかを読むと、待遇面の問題があったりするので、実際は隣の芝生が青く見えるだけなのかもしれませんが、それでも、たぶん、きっと、アニメ制作の方が楽しそうです。

・ストーリー
上山高校アニメーション部出身の5人の女の子たちは、いつかまた5人でアニメを作ることを夢見て、それぞれの道を必死に頑張っていきます。道はまだまだ半ばですが、彼女たちの悩み、葛藤、そして、前進の物語。

・演出
挙げるときりがないので、特に二つだけ。
まず一つ目は嫌味なキャラの処理の仕方がうまい。もう、ブタ野郎を作らせたら鴨志田一さんを置いて他にいないだろうと思っていましたが、それに近いキャラがP.A.WORKSの作品にも結構出てきます。でも、その嫌悪感の回収の仕方が上手です。「ソラとウミのアイダ」の男性漁師の女性蔑視発言が、実は、過去の経緯から彼女たちのためを思ってのことだった、のように、人柄の大前提を覆すようなことはなく、こいつならこういうことしてもしょうがないやつなんだと、いつの間にか思わせてしまうのです。嫌悪を抱いた時にはその性格と行動が極悪で「ぜってーゆるせねー」んだけれど、違うシチュエーションでは、むしろそのキャラだからこそ、なんとなく収まっちゃうようなエピソードの織り込み方がとても見事なのです。こうすることで、キャラもブレないし、嫌な奴には変わりがないままなんだけど、そこにいるのはまあ仕方ないかな、と思えてくるのです。
二つ目は、予定調和の演出。最後はきっとそうなるんだろうなあ、と最初っからわかっているんだけれど、話数が進むにつれ、これ、このままってことはないよね?と不安になり、いつのまにか、頼むから思ってた通りになってくれよ、と願わずにはいられないのです。そして期待通りなんだけれど、その演出がまた綺麗で結果期待以上の予定調和なんです。「坂木しずかルート」のこの演出、とてもすごいな、と思いました。宮森あおいの涙、安原絵麻の涙、この演出は是非観てください。
蛇足ですが、最初は息が合わない朝礼の社長の掛け声が大詰めではビシッと揃うところなんかも何気に気持ち良いです。

・作画
なにせアニメ制作のアニメですから、ここがヤバかったらやばいでしょうw。24話で流石のクオリティ。目がでかすぎですがw
アニメの中で語られているような進行だったら、この24話のまとめ方、凄すぎですw

・音楽
基本的に物語を邪魔しないで盛り上げ役に徹してますよね。いや、結構耳障りだったり、ここでこの曲を選曲するか?というアニメも多いので、これはアニメのサントラ音楽として、相当立派なんだと自分は思っています。

・演技
みなさん、キャラにピッタリはまってますよね。劇中でもオーディションのエピソードがありますけど、キャスティングがしっかりしているのも、P.A.WORKSならではでしょう。
と言いつつ、自分の好みはやっぱりゴスロリ・小笠原綸子のクールビューティーが最高でしたwて、確認したら茅野愛衣さんじゃん、すげーなこの人。

宮崎駿はアニメは子供達の為に作るものだと言っていたらしいですが、P.A.WORKSのアニメは、堂々と大人向けのアニメを作っていて、どれも面白いです。大人が楽しんで、なんだか元気をもらえるアニメが多いと思います。反面、実写でも問題ない気もしなくはないのが弱点でしょうか。だけど、もしこれが実写化されたとしても、本家のこのアニメの方がきっと観て楽しめる作品として揺るがないだろうな、とは思いますが。

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