サクラクエスト 総合:☆☆☆☆
P.A.WORKS制作のオリジナルアニメ。2017年春スタート。全25話。
P.A.WORKSにとって、お仕事シリーズ第3弾ということになるそうですが、第一弾「花咲くいろは」と同様、普通の女の子が、ある意味無理やり辺境の田舎町に飛ばされ、そこで悪戦苦闘するお話、と言っていいでしょう。そして、町のお祭りがターニングポイントになるのもこの二つの共通点かと思います。1クールでは書ききれないテーマなので2クールにまたがるのも全シリーズの共通点。
・ストーリー
短大を卒業間近に控えた木春由乃。アルバイトとして登録していた芸能プロダクションから町興しの国王の仕事を紹介されます。一日国王のバイトと思ってやってきた間野山でしたが、実は1年間の契約で、本気で町興しをこなしていく仕事であったことを現地で知り、自分の地元を捨てて夢を追いかけるために上京した自分が、なぜに田舎で、と脱走を試みます。しかし、頼みの綱であった30社目の面接結果も不合格。東京に戻っても何かができるわけでもない状況と、雇い主である観光協会のスタッフ・四ノ宮しおりにほだされて、国王として、間野山で1年間仕事をすることを決意します。四ノ宮の他に、東京で夢敗れて帰京していた緑川真希、東京でのIT関連の仕事に疲れ間野山に引っ越しWEBデザイナーとして活動していた香月早苗、商店会会長の孫娘・織部凛々子ら3人を引き入れ、総勢5人の仲間たちで間野山の町興しのための奮闘が始まります。
・演出
子供っぽいキャラデザですが、れっきとした大人の女性たちが困難にもそれぞれの得意分野を生かし、仲間を補完しながら乗り越えていく姿が爽やかです。出だしの強引さはP.A.WORKSならではで相変わらずですが、絶対に起き得ないほどのファンタジーでもなく、脚本も自然で、時間をかけてみていくうちに違和感がなくなってきます。むしろ、リアルに生きる人にとっては、この最初の強引さこそ、現実世界からの逃避や、シンデレラのような夢を見させてくれるので、困難が待ち受けていたとしても最後には爽快感が残る演出に心引かれるのではないでしょうか。このように自分にはどうしようもない現状打破を、もしもこのようなきっかけが自分にも起こったのなら、という夢を見ることができる点が、お仕事シリーズの設定の巧みさなのかもしれません。逆に絶対リアル主義の人には厳しいかもしれません。そもそもそういう嗜好の方々はアニメすら見ないとも思いますが。
・作画
やっぱ、安定していますねー。動きも自然。2クールもののテレビアニメとしては相当レベルが高いです。
・音楽
まあまあ、すかね。あまり印象には残りませんでした。それだけ背景に徹していたとも言えます。
・演技
田中ちえ美さんは自然な歌唱で選ばれたんですかね。セリフは少なかったですけどいい雰囲気でした。安済知佳さん、上田麗奈さん、小松未可子さんは言うまでもなく上手いのですが、主役の七瀬彩夏さんが元気で前向きな女性を好演していました。東山奈央さんや本渡楓さんがやるような感じです。あまり他の作品に足跡を残していませんが、勿体無いと思いました。
P.A.WORKSのアニメは、どれを観ても期待以上のクオリティで安心して観られますね。
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