2018年7月28日土曜日

俺ガイル

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 総合:☆☆☆☆☆

現在進行形のライトノベル原作。原作は現在1巻を読んでいるところ。視聴は再放送からですが、アニメを観たから原作を読みたくなりました。原作もお勧めできます。
現在進行形のラノベの途中までを描いているため、良い位置で止めたな、とは思いますが、ドラマティックなエンディングではありません。その上、「月がきれい」が☆4で、「俺ガイル」が☆5。いや、「月がきれい」も☆5相当なのですが、それでも幾分「俺ガイル」に惹かれるのは、自分も理屈っぽい孤独好きだからかもしれません。そして、嫌悪感までは抱かせずに、これだけ、悪い意味でざわついた気分にさせられたアニメを他には思い浮かべられなかったこともあり、☆5に格上げしました。もちろん、掛け合いの面白さや理解のある周囲に助けられて、観終わった後の後味悪さがなかったことも、このアニメを強く推したくなる気持ちになっています。

・ストーリー
全てをひねくれあきらめ孤立を選んだ高校2年の比企谷八幡が、生徒指導教師・平塚静に無理やり入部させられた「奉仕部」。そこで、彼とは正反対に全てを持ち、全てを持つがゆえに孤立していた雪ノ下雪乃と出会います。女教師は二人へ、持ち込まれた依頼の多くにどちらがより貢献できるか、勝負するように命じます。
依頼者から部員に変わった由比ヶ浜結衣が、本来、決して交わることのない水と油の二人を乳化させる役割を果たす形で関わってきます。さらに、的確な助言を与える平塚静の存在、雪乃を煽る姉、八幡を認めながらも対立するしかない葉山隼人、八幡の良き理解者でありナビゲーターでもある妹の小町らが二人の周囲を彩っています。
周りの人たちに囲まれながら、いくつかの依頼をこなすうちに、相当な切れ者かつ理屈っぽい二人の言い合いが、だんだんと掛け合いに変わっていきます。

・演出・作画
二人の掛け合いにとにかく引き込まれます。ただ、原作の半分くらいのボリューム感です。それでもこれだけ魅力的にできたのですから、アニメ化するにあたって、何をセリフから引き、何をセリフの代わりに映像で表現するか、相当工夫されているように思います。
本来なら、その内容から、実写でもいいのではないか、と言いたいところなのですが、このアニメに関しては、その登場人物を表現するのにアニメの手法を使って正解だったのではないかと思っています。
魔法科高校の劣等生の司波深雪を普通の俳優さんが演じるのは酷なように、雪ノ下雪乃の美少女ぶりと舌鋒を両立させるのはなかなかに困難かと思われます。加えて、比企谷八幡の魚の腐ったような目の表現と斜に構えた演技ができそうなのは岸谷五朗さんくらいしか思い浮かばず、岸谷五朗さんに今更高校生はないだろうと思うのです。

・音楽
OPはやなぎなぎさんらしくとても良いです。
EDは早見沙織さんと東山奈央さんで曲もいいです。早見沙織さんの歌声も美しいのですが、東山奈央さんの歌唱がとても好きです。Hello Aloneて題名も俺ガイルらしくてシャレが効いてますね。
サントラも舞台装置として機能しています。

・演技
江口拓也さん、早見沙織さんのキャラクター表現が素晴らしいですね。さらに二人に関わってくる東山奈央さんの若干うざったい存在になりがちな由比ヶ浜の演技も素敵です。
天然で自分の気持ちに正面から向き合わない雪ノ下、全てを承知していて二人とも大好きな由比ヶ浜の切なさ、ハリネズミのようになっている比企谷の揺れる心情。清々しいわけでもなく、ドロドロしているわけでもないこの三角関係の描き方は、アニメの作画に三人の演技力が加わって、皆まで言わずとも推し量れる演出に繋がり、観ていてとても高校生らしいリアルさを感じます。派手にご活躍された高校生活を送っていた皆さんには物足りないかもしれませんが。
平塚静役の柚木涼香さん、小町役の悠木碧さん、孤立した小学生鶴見留美役の諸星すみれさん、雪ノ下姉の中原麻衣さん、その他に小松未可子さん、井上麻里奈さん、ささきのぞみさん等等、実力派が揃っています。

本質をズバリとつきすぎる視点と洒脱な掛け合い、馴れ合いを否定するこのアニメは、自分の好きな「昼行灯、夜になると明るいんです」なノリの中でも、必殺シリーズや刑事コロンボと同様に正義の味方に変わらないタイプに分類され、とてもツボにはまりました。

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