2018年6月4日月曜日

APPLESEED vs イノセンス

APPLESEED  総合:☆☆☆☆
イノセンス   総合:☆☆☆☆

両方とも劇場アニメ。士郎正宗の漫画が原作。原作既刊完読。両方とも原作を下敷きにしていますが、設定を流用しているだけで、ほぼオリジナルアニメ、でしょう。

・ストーリー
「APPLESEED」は、AIとクローンにより管理された理想郷に住む人間同士の思想的な対立から武力衝突までを描いています。あわせて、美女と野獣系(つまり別種族同士)の恋愛物語を絡めている感じですかね。これ、永遠のテーマみたいですね。「イノセンス」より大衆的ではあるけれど、そのぶん、ストーリーそのものは面白いと思いました。
「イノセンス」は「攻殻機動隊」の続編を押井守監督独自の哲学と世界観で創作した物語。哲学するにはその前提はおかしくないかな(例えば、「動物は無意識」として人形理論を展開しているけれど、ボキャ貧なので思考するのは無理があるかもしれないものの、動物さんだって意識や意思はあるんじゃね?)と思うところもあり、まあ、ストーリーを楽しんだり、押井監督の若干押し付けがましい思想に共感するより、あくまでアニメの表現力や押井監督の持ち味「なんとなく哲学」な雰囲気を楽しめば良い映画、かと。そこが好きなんで☆4なんですけどね。

・作画
モーションキャプチャのフル3D(3Dライブアニメと呼ぶらしい)と3D+セルキャラ。まあ、すごいですね。この表現を見るだけでも観てみる価値はあるかと。

・音楽
これまた、両方いいですね。映像に溶け込んでいる度合いとしては「イノセンス」の方が効果的に感じました。

・演技
「イノセンス」
ジブリの鈴木プロデューサーが、少佐の声をジブリお得意の大物俳優(山口智子)起用に変えようとしたらしいのですが、出来上がっているイメージを変えるべきではないと出演を固辞した山口さん、素晴らしすぎます。プロデューサーは利益優先だからね、仕方ないね、困ったね。味が出る場合も確かにある、と思いますが、それでも、やはり、ちゃんと声で演じる訓練を重ねていて、実績を積んできている人に、やらせてあげてほしいです。結果的にはそうなったんだから、よしとしますが。
「APPLESEED」はその辺、ハナからちゃんとしたキャスティングのようです。ただ、続編でヒロインの相方の声が変わり、さすがの山ちゃんでも違和感ありました。再度言おう、山口さん、えらい、と。

0 件のコメント: