2018年7月8日日曜日

ダーリン・イン・ザ・フランキス

ダーリン・イン・ザ・フランキス  総合:☆☆☆☆☆

オリジナルアニメ。24話完結です。
1話ごとストーリーへ感情移入できたりできなかったり、結構、波のあるアニメだったなと思いました。13話が特によかったです。一つの気がかりな謎が解け始め、話が大きく展開していきます。

・ストーリー
未来を奪われ心を失っていく子供達の中に、世界になんとなく疑問を持ち続けている感性の豊かな一人の少年がいました。彼は、ある時、自分と異なる種族の一人の少女と出会います。たった一人、世界に抗い続けて来た少女。その生き方を見て彼女を美しいと思った少年が、彼女に勇気づけられ未来を取り戻そうとする物語。
「同じだったんだ、俺も君たちと同じだった。戦うために生まれたことになんの疑問も持たずに、死ぬことも恐れなかった。でも、わかったんだ。そんなの生きているなんて言わない。俺は戦うために生きるんじゃない。生きるために戦うんだ」
それを気づかせてくれた少女とのプラトニックラブロマンスです。
あわせて、この二人を軸にして、子供達それぞれの未来が絡みます。
ロボットアニメにエロティックなものを大胆に取り入れた、と評価されているようですが、自分は、表現としてエロを連想させる手法をとっているものの、言いたいことはそこにはないように思っています。あくまで、未来を奪われていた子供達が未来を掴み取るための一つのプロセスに過ぎない、と理解してもらいたいために、あえて外連味のある表現を使ったのではないかと。
パラサイトになることで、短命に終わる定めを負わされた子供達、ココロの泣きながらのセリフ
「わたしたち、未来のことを考えちゃいけないの?」
今の社会へのアンチテーゼ満載です。
そして、ゼロツーのセリフ
「素敵だよ。君たちは素敵だ。君たちは自分の心で未来を選ぶことができるのかもしれないんだ」
子供たちにあきらめない勇気を、この作品は与えることができたのでしょうか。

・演出
アニメで表現してよかったアニメ、でしょう。
謎の提起とその回収の連続が自然で、ついつい引き込まれていきます。できるだけ謎を謎のまま残さない方針のようなので、観ていて欲求不満になりづらいです。ゼロツーの本心については、最後まで謎めいた雰囲気を保ったことで、行動を予測させませんでした。これも、作品の結果としてはよかったのかもしれません。自分としては、13話〜15話で、この二人の関係を固定化し、後半では彼らが周りに与えて来た影響の仕上げに集中してくれてもよかったのではないかと思っています。
また、よく考えると結構今起きている社会問題をテーマとして昇華して、アニメ化しているように観ることもできます。大上段に少子化、温暖化、環境破壊がどうだこうだと言っても、そうそう理解してもらえないでしょう。さりげなく、うまくすれば気づいてくれるかもしれない程度の思いを、制作さんとしてこの作品に込めたかったのはあったかもしれませんね。
このアニメでは、ナレーションで状況心情を語らせます。あまりスマートな演出とは思えないのですが、子供たちの気持ちを理解する上では、悪くなかったと言えます。

・作画
絵柄も、キャラの安定感も、動画の自然さも、アクションもテレビアニメの枠を超えてます。ズームレンズを動かしてパースペクティブを変化させる使い方、アスペクト比の効果的な変化。凝っています。

・音楽
オープニングもいいんですが、エンディング集、特に良いです。vol1の山下七海さんソロとvol2の坂上静香さんソロが、びっくり効果も手伝ってかもしれませんが、すごくよかったです。劇中曲も印象的で、一つの楽曲として聞けると思います。13話で使われていた曲はストーリもあって、印象に残りました。
1話の終わりをエンディングにつなげる手法をとるのですが、15話の赤いストレリチアになる場面、中島美嘉さんのオープニングを使ったのですが、これ、他になかったんですかねえ。。。。他の話ではうまくつながってたし、13話では涙ものだったのに。

・演技
みなさんよい!!。でもやっぱり早見沙織さん^^。あと、石上静香さんの動と静の演技の切り分けがうまくて、自分的にはナンバーワンでした。上村さん、13話のラストとか、この人しかいないな、と思う時の方が多いのですが、ときたま、どうしてそう棒読みな台詞回しなんだ、と気になるところもあったのが、少しだけがっかりでした。

ちょっと☆4とで悩みましたが、アニメでしか表現できないだろう点を考慮して☆5にしました。とにかく、半年、楽しかったです。

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