アニメ「AKIRA」は今から30年前の1988年に公開された劇場用アニメです。大友克洋さんの漫画が原作。大友克洋さんといえば小説以外で初めて日本SF大賞を受賞した「童夢」が印象的でしたが、漫画「AKIRA」は「童夢」の次に発表された作品です。アニメ「AKIRA」で監督をされて以降、大友克洋さんは漫画からアニメの世界にシフトした感じですね。少し残念です。
原作は読んでいますし、「AKIRA」以前の漫画は全て既読です。
SFですが超能力が題材となっています。
「AKIRA」では2020年に東京オリンピック開催が予言されています。偶然でしょうが、なんとなく面白いです(ぶっ壊しちまえスタジアム)。
第3次世界大戦を経た2019年のネオ東京を舞台に、不良グループが、軍が秘匿していた超能力者と接触することで、政府と反政府ゲリラとの抗争に巻き込まれるストーリー。幼馴染の男の子二人の歪んだ友情の物語でもあります。
巻き込まれたカオリちゃんの扱いが、原作と違って、ちょっとかわいそうでした。
・演出
原作が連載中にアニメ化されたため、話の展開やエンディングがだいぶ違います。原作の真ん中付近から結末を迎えるため、アニメ制作陣は超常現象によるバイオレンスとカタルシスにテーマを絞った印象です。なので、映像やアクションを楽しむのには良いのですが、物語として心を揺さぶられるような展開になっていないのが残念です。
大友克洋さんの漫画といえば、異常に均一、繊細かつ緻密に描き込まれた背景が特徴的だと思うのですが、アニメ化では、漫画のスタッフが揃わなかったのでしょうか、「童夢」の背景を描いていて漫画「AKIRA」まで大友漫画に参加していた高寺彰彦さんの名前が、アニメのスタッフに見当たりません。このためかはわかりませんが、アニメでの背景が漫画の背景を表現しきれていないのが残念です。
ただ、それ以外、漫画界に大きなインパクトを与えた日本人キャラを美化しない造形、斬新なカメラワークはしっかり反映されていて、大友節を味わうことはできるでしょう。
さらに、アニメーションも非常に丁寧で、リアルさの中にもアニメならではの派手な演出も優れもの。よくここまで原作のイメージを壊さずアニメ化したものだと思います。30年経った今でも十分に見応えがあります。
・音楽
普通な気が。
・演技
メインキャラの人たちは流石なのですが、やっぱり子役の声は難しいですねえ。
漫画の画はとにかくすごいのですが、不満はあるものの、アニメでも奮戦している点を考慮して☆4です。ストーリーだけだったら☆3でした。
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