2018年8月29日水曜日

言の葉の庭

言の葉の庭 総合:☆☆☆☆

新海誠監督のアニメ映画。2013年公開。
40分強の小品のため、サクッと観られます。

・ストーリー
靴職人を目指していることをずっと胸に秘めていた高校生のタカオくんは、雨が降ると午前中の授業をサボり、庭園の四阿で靴のデザインを考えることにしていました。
ある日、四阿に先客がいました。昼間からチョコレートをおつまみにビールを飲んでいる年上の若い女性。少し気になりながらも、いつものように靴のデザインを始めます。タカオくんはどこか見覚えのあるその女性に、話しかけますが、彼女は「なるかみの すこしとよみて さしくもり あめもふらぬか きみをとどめむ」と言い残して、立ち去ります。
次の雨の日、また、四阿に彼女が座っていました。彼はなぜか彼女に、誰にも言ったことのない靴職人への夢を打ち明けます。
そして、歩み始めた彼とうまく歩くことが出来なくなった彼女の歩く練習が始まります。

・演出
雨が現実より美しい。水たまりの透明感、水溜りに落ちる波紋、これがアニメの描写かとびっくりします。新宿の街の描写も写実的で、通い慣れた人には、現実の通勤はこんなに美しくないー、と羨ましくなるでしょう。新海誠監督の最初の頃の映画は、ハッピーエンドなのか、バッドエンドなのか、を受け手に委ねる絶妙な演出が持ち味でした。「君の名は。」ではだいぶ大衆的になりましたが、いかにもの新海誠監督を感じたいのであれば、この作品もおすすめです。
ただ、短編ゆえの急すぎる展開やタカオくんの行動にしっくりこない人もいるかもしれません。雛鳥が飛び始めたばかりのぎこちなさと慮ってあげる必要はありそうです。
ちなみに、彼女は、「君の名は。」にも、三葉の高校の先生として登場しているようです。

・作画
劇場用アニメとしても相当な高レベル。

・音楽
「秒速5センチメートル」の主題歌ほどではなく、「君の名は。」の主題歌よりは良い。

・演技
大人なのに可愛らしく、人に言えない秘密を抱える悲しい役を花澤香菜さんが演じています。花澤香菜さんの透明感のある声と透明感のあるアニメーションの相乗効果。この作品の魅力です。

自分も高校時代、その形態と生態からジャミラと呼ばれていました。雨が降ると学校に行かなかったからです。こんなロマンティックなものじゃなかったけどね。アニメや物語は夢を見せてくれるので楽しいです。

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