2018年5月31日木曜日

りゅうおうのおしごと! vs 学園ベビーシッターズ

りゅうおうのおしごと!  総合:☆☆☆
学園ベビーシッターズ   総合:☆☆☆

「りゅうおうのおしごと!」は現在進行形のラノベが原作。「学園ベビーシッターズ」は現在進行形の漫画が原作。両方とも原作は未読です。なんか、竜王がベビーシッターに見えちゃったので。

・ストーリー
「りゅうおうのおしごと!」は棋士の世界、特に女流棋士の世界が中心となっています。少年漫画的なノリの登場人物と熱血スポ根要素を持つロリコンアニメ。ただ、誰が主人公で、どの舞台がメインなのか。ちょっと発散していて、少しテーマがぼやけた感じ。まとまりのなさを感じました。8話の解説のお仕事での実況のギャグは面白かったです。
「学園ベビーシッターズ」も兄弟のお話なのかベビーシッターのお話なのか、主人公のハーレムロマンスのお話なのか、よくわからないまま、そして、結末もないまま、終わってしまいました。
両方とも否定するほどでもないしダラダラと最後まで見続けていましたので、若干緩めの☆3です。

・作画
TVアニメとしては良くも悪くも普通、じゃないですかね。

・音楽
まあ、普通、じゃないですかね。

・演技
「りゅうおうのおしごと!」の声優陣は結構豪華。あい役・日高里菜さん、銀子役・金元寿子さん、天衣役・佐倉綾音さん、桂香役・茅野愛衣さん、竜王役・内田雄馬さん。それぞれのキャラのそれぞれの物語をそれぞれ興味深く観られたのは声優さんのおかげかも。ゆえに発散することになったのかも。
「学園ベビーシッターズ」では猪又まりあ役のギャップ抱えまくりキャラが気になりました。声をあてた明坂聡美さんが良かったのかな。

2018年5月30日水曜日

結城友奈は勇者である 鷲尾須美の章

結城友奈は勇者である 鷲尾須美の章  総合:☆☆☆☆☆

原作はTVアニメ「結城友奈は勇者である(以下ゆゆゆ)」と同時に連載されていた小説(イラストノベルって言ってますね)。原作、既読です。
アニメは全6話で、2時間半あれば見終われます。

「ゆゆゆ」での名シーン・名セリフの一つ「自分の涙の意味がわからないの!」の意味がわかります。時系列としては「ゆゆゆ」の2年前の世界を描いていますが、「ゆゆゆ」と同時連載されていたこともあり、並行して観ることで真価が発揮されるかもしれません。当時と同じ状況で両方のアニメを観るためにはどの順番で観れば良いかを紹介してくださっているブログもありますので、興味のある方、まだ両方とも観ていない方は、そちらもご参照ください。制作陣の意図を尊重して公開順に観ることを好まれる方や、問題を見るより先に解答を見ることを敬遠される方は、「ゆゆゆ」「結城友奈は勇者である 鷲尾須美の章(以下わすゆ)」の順に見たほうがい良いかと思います。
自分は期せずして「わすゆ」から「ゆゆゆ」の順、時系列型で観ることになりましたが、後悔はしていません。むしろ、「わすゆ」を観たから「ゆゆゆ」を観たくなったと言えます。続きを観たくなる、それほど「わすゆ」のストーリーは秀逸だと感じています。
ただし、「わすゆ」単体の展開から「まどマギ」を連想する方は多いでしょう。自分もそうでした。そこに引っ張られて、「わすゆ」と「まどマギ」それぞれに流れる別のテーマを捉えられなくなるのは、少し残念です。「勇者であるシリーズ」全体を通して観る読むすれば、それぞれの違う魅力がはっきりします。もし「まどマギ」との比較で「わすゆ」に面白さを感じられないのであれば、「勇者であるシリーズ」全部、とは言いません、「わすゆ」「ゆゆゆ」二つだけでも観ていただければな、と思います。自分はそれで「勇者であるシリーズ」の魅力にどっぷりはまってしまいました。

・ストーリー
勇者は神様からの指名制。自分の意思なんか御構い無しに勇者にさせられ、あげく犠牲を強いられる少女たちのお話です。それが嫌と言う奴はそもそも指名されないでしょうが「ゆゆゆ」では一応、選択権がありました。割と個人的な理由で勇者になるための最終決定ボタンを押しているので、それが裏切られたと感じた時に勇者は暴走しかけるのですが、それでも踏みとどまるのが勇者たる所以です。ところが「わすゆ」時代までは、その選択権さえありませんでした。級友にお役目について問われた勇者は以下のような言葉を口にします。
「あのね、そうなりたかったわけじゃないのさー」
「それができる強い子だったから、、神樹様に選ばれたの」
彼女らの苦悩が滲んで見えるようです。
大きなお役目に誇りさえ持っていた「わすゆ」時代の勇者が、この時に強いられた犠牲の記憶が潜在意識として残り、「ゆゆゆ」時代には勇者であることの意識を変化させていきます。「ゆゆゆ」時代の暴走の背景でもあるわけです。「わすゆ」だけでも十分楽しめます。ですが「ゆゆゆ」と併せて観る事で、世界観がより膨らむことも確かです。

・演出
1話2話で出塁し、3話でクリーンヒット。4話5話6話の連続ホームランで試合を決めています。明暗の対比。喜怒哀楽の見せ方、そこへのつなげ方。ミスリード手法。設定、背景、心情を言葉ではなく、できるだけ仕草、動作で見せてくれる。「ゆゆゆ」で監督だった岸誠二さんは総監督になっていますが、やっぱこの人の作品、手法、好きですね。

・作画
円盤買って良いんじゃないかなあ。

・音楽
サントラ買って良いんじゃないかなあ。
アニメを盛り上げる背景でもあり、独立した楽曲としての聞きごたえもあります。戦闘シーンもいいのですが、5話前半のイベントでの音楽、花火の場面でのバラード調の音楽も、とても良かったと思います。OP/EDも良いです。

・演技
3人のヒロインに三森すずこさん、花澤香菜さん、花守ゆみりさん。脇役ですが声優アワード受賞歴もある佐藤利奈さん。ほとんどこの4人で演じきっている感じなのですが、もう、すごい、です。三森すずこさんって美しい声ですね。早見沙織さんのようにあまり声質を変えない方ですが、演技もうまいし、歌も超絶うまいです。「ゆゆゆ」ではあまり登場しなかった乃木園子役の花澤香菜さんですが、2期でのこの人の存在は、かなり大きい。花守ゆみりさんも二人のスーパースターに引けを取らない演技でしたし、佐藤利奈さんの徐々に心を殺していく演技も見応えがありました。

「クレイマー、クレイマー」という映画をご存知でしょうか。お母さんが家を出て行ってしまった後、自分の感情を抑えながら必死にお父さんと暮らしていく小さな子供。そして、お母さんとの再会。親の身勝手に翻弄される少年の健気さに打たれるアカデミー賞受賞作品なのですが、公開された時の自分はまだティーンエイジャーでした。面白いとは思いましたが、子供を持った後に、再度観た時の感動からは程遠かった。
最終的には自分たちの生存のためとは言え、運命に従いみんなのために戦う少女たちを描く「わすゆ」に魅せられたのも、ひょっとしたら、子供を持った後の、今の自分だからなのかもしれません。最後に、「わすゆ」での大人たちの会話から。
「神樹様のお役目でいかれるとは大変名誉な事じゃないか。」
「そうは言ってもねえ。うちの子がもしそうだったらと思うと。」

2018年5月28日月曜日

クズの本懐 vs 僕の彼女がまじめすぎるしょびっちな件

クズの本懐              総合:☆☆☆
僕の彼女がまじめすぎるしょびっちな件 総合:☆☆☆

原作は漫画。「クズの本懐(以下クズ)」歪んだエロと「僕の彼女がまじめすぎるしょびっちな件(以下しょびっち)」明るいエロコメ。本来前者は百合が強すぎるけど漫画「彼女とカメラと彼女の季節」「やがて君になる」、もしくは、れっきとした18禁あたりと比較すべきかも。後者は世界観が違うけど「つぐもも」とかかな。まあ、高校を舞台としたエロアニメ同士ということで。「クズ」の漫画は一応完結してることになるのかな。完読。「しょびっち」は現在進行形。だけど、読み切り系なので、本来は最終回を気にする必要ないはず。

・ストーリー
「クズ」はねえ。感情移入できるキャラが皆無という、まれな特徴を持ち、最後までスプラッター映画でも観るような異様さに包まれています。理解が及ばないお話を、なんでも「深い」で理解したふりするのはやめようぜ。まあ、アダルトとして観ることを前提にするなら、深いけど。故にかろうじて☆3。
「しょびっち」は普通の事をエロに誤解するヒロインの天然ボケぶりをギャグとして楽しむアニメで、これは成功していると感じます。思わずクスクス笑ってしまうこともしばしば。また、こんな可愛いくて真面目な子がこんな卑猥な発想しちゃあいかんよ、とつい思ってしまうギャップも良いですね。ただ、現在進行形漫画のアニメ化なので、なんか最後が強引。青春物語風にしたかったみたいに見えないこともないけれど、そこは成功していないかな。

・作画
「クズ」はいいんじゃないでしょうか。「しょびっち」の円盤は作画の点からは買う気になれないかな。

・音楽
ふつうに。

・演技
「クズ」は「刻刻」ヒロインの安済知佳さん。フラフラをよく演じてくれていますが、ただ、ここでは、豊崎愛生さんの人間性欠如の悪女っぷりと島崎信長さんの倫理観欠如の虚無感が突出しています。
「しょびっち」ヒロインは悠木碧さん。ヒロイン街道をまっしぐらに進むより、ちょい役だろうがなんだろうが、いろんな役を嫌がらずにこなしていくことの方が、声優さんの世界で生き続けるには大切だと聞いたことがありますが、しかし、ここまでやらなくても^^; 今の悠木碧さんなら、もうちょっと役を選んでも世間は許してくれるのではないかしら。このアニメでも、悠木碧さんだとは推測のつかない声色を使って、際どいセリフ吐きまくりのキャラを演じています。さすがにこの声で、このキャラを表現するのは厳しい感じだけど、演技がうまいから困る^^

2018年5月27日日曜日

ポプテピピック

ポプテピピック  総合:☆☆☆

4コマ漫画原作。不条理系ギャクアニメ。絵柄も可愛い大好きな漫画「クマのプー太郎」を思い出しました。どちらの作品も好きなのですが、周囲から全く共感してもらえません。かなり人を選ぶ作品であろうことは確かかと。

・ストーリー
不条理ですから、あってないようなものです。

・演出
30分枠アニメで前半15分と後半15分、全く同じアニメを女性声優同士、男性声優同士で演じさせる構成が、斬新。1話目を観たとき、何が起きたのだろう、と思ったものです。ただ、この構成ですと、不条理ギャグ自体よりも、声優の演技力の対比に意識が偏ってしまいます。純粋にポプテピピックのギャグを楽しむには不向きなアニメです。

・作画
作中で制作自身も言っていますが、作画枚数が少ない。作中のコーナー「ボブネミミッミ」含めて絵柄も作画も不条理です。でも、不条理なんですからいいんです、別に。このアニメについてはこれがこれの表現かと。あとは観る人がこれを好きか嫌いか、だけの話かと思います。自分は、許せなくはないけど好きではないです。

・音楽
サントラは耳に全く残っていませんね。効果音しかなかったんじゃないかと思うくらい。

・演技
入れ替わり立ち替わり数多の声優さんの演技が観れます。楽しめます。これだけでも、このアニメの意味はあるのではないかと思うくらいです。

2018年5月26日土曜日

いつだって僕らの恋は10cmだった vs 秒速5センチメートル

いつだって僕らの恋は10cmだった  総合:☆☆
秒速5センチメートル        総合:☆☆☆☆☆

「いつだって僕らの恋は10cmだった(以下10)」は全6話。本編2時間程度だし、題名から「秒速5センチメートル(以下5)」に乗っかってるとしか受け取れなかったので、テレビと映画の違いはあるけれど、あえてこの二つで。等身大の恋愛物語同士。

・ストーリー
等身大とは言ったけど、「10」の方は、全然リアリティを感じないのは何故なんだろう。これだけ感情移入できないキャラ二人が主人公って。「現実は、いつも稀有なものなのです!」by カトリーエイル・レイトン、てくらい、ほんとにこんな高校生活ってあるのかしら。恋愛が苦しいのはわかるけど、こんな不自然な苦しみ方や行動をとる人たちがいること、どうしても理解できませんでした。主人公二人が極端に独りよがりすぎる。これに振り回される周りの友人たちが可哀想すぎます。芸術家はすべからく変人だってことで無理にでも納得しましょう。
「5」は、「ReLIFE」や「月がきれい」のホッと系ではなく、「Fate/stay night」セイバールートと同じ、あああ系です。いや、現実では、こうなるでしょう普通。あああ、自分はなんで「10」と比べず、違うアニメやエロゲーと比べているのだろう^^ ちなみに、漫画「5」では、ちょっと前者寄りの結末になっています。

・作画
「10」の作画は悪くないです。新海誠監督の映画と比較するのは、いくらなんでも酷ってもんです。

・音楽
「10」は普通かな。「5」はいいです。三章はそこらでパロられてますし、評価を分ける部分でもあるのですが、逆にそれくらい音楽と映像とストーリーの融合が斬新な出来と言えるのではないでしょうか。どちらかというと演出としての感想ですね。

・演技
「10」のヒロインは豊崎愛生さん。一体全体、どうしちゃったんだ。
「5」の方は声の世界で特に有名というわけではないようなのですが、描かれる人物にマッチしている声だな、と思いました。

「秒速5センチメートル」はいずれ、もっとまじめに感想を書きます^^;

2018年5月25日金曜日

クジラの子らは砂上に歌う vs BLOOD+

BLOOD+          総合:☆☆
クジラの子らは砂上に歌う  総合:☆☆

「いぬやしき」と異なり、力を持っているにもかかわらず、ウジウジと平和を願うばかりで手をこまねいている間に、大切な人たちをガンガン犠牲にしていく物語同士です。俺最強系が好きな方々は観ないことをお勧めします。一応、両方とも全話観ていますので、その点からは☆3なのですが、最後まで観る必要もなかったな、との感想を反映しています。

・ストーリー
「BLOOD+」ちょっと古いですけどね。このアニメにおけるヒロイン・小夜には反発しかなかったことを「クジラの子らは砂上に歌う(以下、クジ砂)」を観た時に、即行で思い起こした作品なので、比較対象として取り上げました。
「BLOOD+」はバンパイアの始祖から派生した亜種と人との争いを背景に、自分の血の由来に様々な葛藤を繰り返す始祖(小夜)の物語。こいつ決心をすぐに反故にするんです。一体、このおかげで、どれだけの人がご迷惑を被ったことか。挙げ句の果てに最後の最後の決心までも最後の最後に覆してしまうのは、あまりに身勝手で、全く共感ができなかったです。50話見続けてこれかよ。救いはシュバリエというモノを生み出した作品であることと、狂気なりに美しく筋を通したディーヴァの存在でしょうか。アムロよりシャアの方が最初のうちはカッコいいのですが、アムロだって、いつまでもウジウジしていなかったぞ、と。「BLOOD+」の小夜のウジウジっぷりは碇シンジも真っ青です。ちなみに自分は「ラスト・ブラッド」「BLOOD THE LAST VAMPIRE」も円盤で持っているくらい、この作品の世界観は好きです。それでも「BLOOD+」の小夜だけは許せません。
「クジ砂」謎めいた展開や深い設定は面白いのですが、クジラの子らの行く末や、悪役の末路などが、どうにもすっきりしませんでした。自分が嫌っている理由については、「BLOOD+」を引き合いに出していることから、推し測ってくださいませ。リーダーがこれじゃあ。。。

・作画
「BLOOD+」はProduction I.G.とaniplexですからね。悪いはずはありません。「クジ砂」もかなりハイレベルです。

・音楽
「BLOOD+」は臨場感もあり、哀愁もありで良いです。ディーヴァの歌声は聞いて見る価値はあるかもです。「クジ砂」も歌唱があるのですが、含めて「BLOOD+」ほど、印象には残りませんでした。

・演技
「BLOOD+」。キタエリさん、若い頃から達者でしたね。
「クジ砂」。なんでか久川綾さんって好きなんですよね。多分、1998年に発売されたPS用ゲーム「プリズムコート」宗田理央役がとってもハマってて良かったからかな。一般的にはセーラーマーキュリー役で超有名かと。この作品ではタイシャ役。この人が首長の頃はまだマシだった。あとは、現視聴中で、数少ない続きが気になるアニメ「多田くんは恋をしない」のテレサ・ワーグナー役の石見舞菜香さんが暗いけどテレサよりは自然な感じで声を当ててるヒロイン・リコスがクールでした。まあ、暗くて感情の起伏の少ないキャラの声って、なんか一様に好きっていうね。

2018年5月24日木曜日

いぬやしき

いぬやしき  総合:☆☆

原作は現在進行形の漫画。漫画は2巻まで既読。

・ストーリー
神の力を得た時、人はどう生きるのか。テーマが壮大すぎて、消化しきれていない気がします。際立たせるため、悪が必要なのは分かるのですが、人を無意味に殺しすぎですし、殺すことに執着する意味がわかりません。せっかくの力なのに、他にやっておきたいこと、思いつかないのかなあ。対極として善が必要なのは分かるのですが、善の表現も、絞られすぎている上に、コーディネータが必要な意味もわかりません。全知全能を得た時に人が陥る思考としては浅はかに過ぎませんかね。

・作画
アクションやアニメーションはかっこいいですね。作画を楽しむ作品といえます。

・音楽
OPはこれでもかってくらい力が入ってます。「秘密結社 鷹の爪 THE MOVIE」を思い出します。

・演技
小日向さんはTVドラマ「相棒」でケビン・スペイシーを意識したような演技が印象的でしたが、声優として、実力を遺憾なく発揮されているようには思えませんでした。

2018年5月23日水曜日

宇宙よりも遠い場所

宇宙より遠い場所  総合:☆☆☆☆☆

※2019/01/15 見返して、やっぱり☆4は厳しすぎました☆5に変更。画も良いし内容も良いし繰り返し観てもやっぱり打たれます。

オリジナルアニメ。それぞれの動機を胸に4人の女子高生が南極を目指し、友情を培う物語です。限りなく☆5に近い☆4。題名からは「宙のまにまに」「宇宙兄弟」あたりと並べてみたくなりますが、どちらかというと「ゆるキャン」「ヤマノススメ」の方向性であり、さらに個人の事情に踏み込んでから友情につなげている点が、この作品の魅力かと思います。

・ストーリー
一人の「南極へ行く」という強い思いに巻き込まれて、他の3人も目的を共有していきますが、その目的のおかげで、自分の願いや悩みと向き合えることになります。そして、4人が4人とも、自分の抱える問題には不器用なくせに、他人の問題ではまっすぐに支えてあげていて、これらのことを通して次第に大切な友達になっていく過程が爽やかでした。目的への経緯が少しあっさり成就しすぎたように感じられたのは、幾分残念でしたけれど、☆一つ減らすほどでもなかったかな。

・演出
12話。新規メッセージを大量に受信していくシーンに感動しました。とくに、おかあさんのパソコンにパスワードを入力する場面。全く言葉を使っていないのに、そのパスワードがなんだったのかを視聴者に教える作画・演出、素晴らしいの一言です。
全体としてもテンポや間がよく、セリフも不思議に思うようなものはありません。ちょっとした仕草も、いかにもリアルに人が取る仕草で表現していてオーバーアクションや違和感などはありません。とても安心して観られます。

・作画
絵柄もいいし、原画も動画もとても安定していて、円盤買って良いレベルかなと。

・音楽
とても良いです。OP/EDも良いです。

・演技
4人のヒロインに水瀬いのりさん、花澤香菜さん、井口裕香さん、早見沙織さん。これだけ優しい声の方が集まると、温かい作品になるってもんです。ただ、花澤香菜さんは、この作品では強い女の子を演じています。我が強かったり、変人染みた振る舞いをしたり、根に持った言動をしたりする変わった女の子を、嫌味を感じさせすぎないキャラに仕立てた演技力はさすがです。実況はド下手なのに、友達のためにズバッと言い切るところ、かっこいいです。
4人以外にも阿澄佳奈さん、能登麻美子さん、日笠陽子さん、Lynnさん、遠藤綾さん、金元寿子さん、本渡楓さん、小松未可子さん、大原さやかさん、、、並べてみると、すごいな。きりがないので、あと一人だけコメントを。金元寿子さんは、メインの4人とは異なる友情の形を観せてくれていました。5人目のヒロインと言って良い役回り、演技だったかと。

12話の演出も良かったし、その時の花澤香菜さんも素晴らしかったんだけど、
自分的にはこの11話も相当きました。
「許したら、楽になると思うか?」(井口裕香さん)
「許したい?」(花澤香菜さん)
「それで私が楽になるならなあ。けど、それでホッとしているあいつらの顔を想像すると腹は立つな」(井口裕香さんらしい、嫌味のない台詞回しが素敵だ。)
「ざけんな?」
「だな。ちっちゃいなー私も」

(花澤香菜さん、まずは怒りを抑えて震えながら)
「始まる前に一つだけいいですか。
 悪いけど、三宅日向にもう関わらないでくれませんか?
 あなたたちは日向が学校辞めて、辛くて、苦しくて、あなたたちのこと恨んでいると思ってたかもしれない。毎日部活のこと思い出して、泣いてると思ってたかもしれない。けど、けど、、」
「けど、そんなことないから!日向ちゃんは今、私たちとサイッコーに楽しくて、ちょー充実した、そこにいたら絶対できないような旅をしてるの」(花澤香菜さんを後押しする水瀬いのりさん。基本優しい)
(そして、花澤香菜さんがごく稀にみせる、感情を大爆発させる演技)
「日向はもうとっくに前を向いて、もうとっくに歩き出しているから!私たちと一緒に踏み出しているから!私は日向と違って性格悪いからはっきり言う。あなたたちはそのままモヤモヤした気持ちを引きずって生きていきなよ!人を傷つけて苦しめたんだよ。そのくらい抱えて生きていきなよ。それが人を傷つけた代償だよ。私の友達を傷つけた代償だよっ。いまさらなによ。ざけんなよ。」
水瀬いのりさん、花澤香菜さん、井口裕香さん、早見沙織さん、本当に素晴らしかったですね。
なぜ、こうなったかは、是非、本編を観てください。

2018年5月21日月曜日

文豪ストレイドッグス vs キリングバイツ

文豪ストレイドッグス  総合:☆☆☆
キリングバイツ     総合:☆☆☆

まあ、テイストが違いすぎるのは確かですが、異能力バトルアクションという事で。「文豪ストレイドッグス(以下、文スト)」の中島敦の異能力は「キリングバイツ(以下、キリング)」に出場可能かと。
原作は漫画で、両方ともに未完。キリングバイツだけ、1巻のみ既読です。

・ストーリー
両方とも荒唐無稽で好む人を選びそうなので☆は少し辛めです。
いくつかの敵対勢力が入り乱れて、異能力バトルを繰り返すのは双方同じ。俺強え要素もあり、なんとなく全部観終えてしまいました。
「文スト」は基本的にクールなところが売りでしょうか。実在作家とその作品をモチーフにした異能力バトルで、おうおう、そいつ知ってるよ的なクイズに正解したような達成感と、ほうほう、その作品をそのような能力とするのかという、これまた作品知識ある俺ご満足を味わえます。何より、泉鏡花を可愛い女の子にしたのがグッドですw
「キリング」は、まあ、エロが売りですね。獣人のバトルもの。ただ、ラーテルとか、よく知らない動物の知識がなんとなく増えるのと、よく知ってる動物でもよく知らない生態を知ることができるのが、良いところでしょうか。エンディング後のショートストーリー「導けおしえちゃん」がかなり面白い。「ただし、おしえちゃんは獣人でもなんでもない!」

・作画
良いんじゃないでしょうか。とにかく「文スト」はカッコ良いし、「キリング」はエロい。バトルシーンも迫力があります。お話が面白いと思ったのなら、作画が円盤購入を決める上で足を引っ張ることはないのではないでしょうか。

・音楽
全体的に良いのですが、特に「キリング」のエンディング「けだものだもの」は耳に残りますねー。

・演技
「文スト」上村さんは、やっぱりどうなんだろうと、ここでも思うことがままあります。宮野真守さんはさすがですね。若いのに経験豊富な諸星すみれさんが可愛くて良いです。
「キリング」ではやっぱり瞳役の雨宮天さん!もう若手とは言えないくらいに、たくさんの人気アニメの重要なキャラで、七色の声と確かな演技力を披露されていて、この作品でも凶暴な戦闘マシーンから一転して可愛い女の子を表現しなければならない、幅広い役どころを演じきってます。共演の内田真礼さん、上坂すみれさんも良い感じです。なかなか色っぽいシーンが多いのですが、みなさん、プロですねえ。ララァ・スンの娘、潘めぐみさんの汚れ役も良かったです。

2018年5月20日日曜日

ReLIFE vs ネト充のススメ

ReLIFE      総合:☆☆☆☆
ネト充のススメ  総合:☆☆☆

両方ともcomico掲載の漫画が原作、そして未完。設定的に並べるのはちょっと無理っぽいけど、テーマは共通していて、引きこもりの大人がバーチャルと言っていい体験を経て、リアルへの足掛りを掴んでいく物語。ReLIFEだけ1巻既読。

・ストーリー
自分がタイムパラドックス系が好きなのは、やっぱり昔をやり直したい、と無意識に根強く思っているのかな。
「ReLIFE」はそんな大人の思いをそのまんま設定にして夢を観させてくれます。ところどころに恥ずかしい展開もあるけれど、総じて奇跡が起きることや上手くいって欲しいなと思い続けられる話の進め方なのでワクワクして観続けられました。完結篇17話のエピローグはあってもなくてもそれぞれの結末として納得できそうですね。無い方が引きずるエンディングになったとは思います。
「ネト充」は、バーチャルとリアルの交錯が、ちと都合よく行き過ぎな気がします。それ以外は意外とありそうなお話で、ヒロインのもりもりちゃんにも感情移入しやすく最後までまあまあ気持ちよく観ることができました。
「ReLIFE」の方がありえない設定ではあるものの、その設定を上手に消化していると思えた事と、エピソードが人の内面により深く切り込んでいて共感できることも多かったので、☆の差としています。

・作画
両方とも普通。極めて良いわけではなく、キャラの画も安定しているわけではないけれど、許容範囲じゃないでしょうか。

・音楽
「ReLIFE」はジャズっぽい。即興みたいな雰囲気で、割と主張してきます。なので、いささか邪魔に思える場面がありました。エンディング曲は毎回異なり、MDが利用されていたであろう時代の歌謡曲が使われていて、懐かしい感じを演出してくれています。
「ネト充」はOP/EDがポップな感じで何気にお気に入り。

・演技
「ReLIFE」はやっぱり茅野愛衣さんの演技ですかね。戸松遥さん、上田麗奈さん、茜屋日海夏さん、沢城みゆきさん、内田雄馬さんらも出演していて何気に豪華。
「ネト充」も能登麻美子さん、櫻井孝宏さんが自然で良かったです。

2018年5月19日土曜日

ささめきこと vs citrus

ささめきこと 総合:☆☆☆
citrus     総合:☆☆

両方とも原作は漫画。百合ものです。どんなジャンルでも観ないことには始まりませんからね。「機動戦士ガンダム」や「魔法少女まどか☆マギカ」も名前だけで観るのやめてたら、「Fate/stay night」もエロゲーということでプレイしていなかったら、折角の名作を知ることができなかったわけですし。
「ささめきこと」は原作がストライクでした。完結しています。既読です。
「citrus」の原作は現在進行形。未読です。

・ストーリー
「ささめきこと」は原作1話目は元々は読み切りだったそうです。読者に好評だったため、連載につながったそうですが、読み切りではヒロインの気持ちは秘められたまま終了するのに対して、連載ではヒロインの気持ちをはっきりさせてから物語が進みます。読み切りの雰囲気がとても良かったので、アニメで、この読み切りの雰囲気を維持してくれているのは良い感じです。
ただ、これだけ思い入れの強い原作がアニメ化されると、どうしても拒絶反応を起こしやすくなる点を差し引いても、アニメは原作にはちょっと及ばないかな。連載途中でアニメ化されたのも痛い。実際、最終的に両者を観直してみると、雰囲気は維持されているものの、ストーリーは整理されていて、肝心な部分が削除されているように感じる上に、アニメオリジナルの追加もあり、もはやここまでいくと、あくまで原作は原作であって、アニメはそれをベースとしたアニメとして楽しめばいいかな、と思えないこともないのですが、原作が伝えたかったことを伝えきれていない中途半端感は否めません。
「citrus」は「ささめきこと」に比べると単純にサカっているだけに見えちゃうのが難点でしょうか。百合の中の百合なんでしょうね。それを求める人にはとても良いかも。最後まで観ましたが、自分には、どうしてもヒロインの頭の方向性が受け入れられませんでした。

・作画
「ささめきこと」はしっかり手間かけて作られてる感じがして、原作好きからすると嬉しいです。
「citrus」はまずまず安心して観ていられるなと思いました。

・音楽
「ささめきこと」は情景にマッチしているところも多いのですが、マッチしていないところも散見されて、ちょっと残念でした。
「citrus」は、普通でしょうか。EDはお気に入り。

・演技
「ささめきこと」は等身大のキャラもあるのでしょう、皆、自然な演技で良かったです。
「citrus」は、またまた竹達彩奈さんです。津田美波さんとのコンビはなかなかです。



2018年5月18日金曜日

宝石の国

宝石の国 総合:☆☆☆☆

どうしても比較対象を思いつけなかったので単独です。
漫画が原作。現在進行形です。原作2巻まで既読。限りなく☆5なのですが、なかなかうまくまとめてはいるとはいえ、謎が残りすぎていて、アニメ12話で完結してるとは思えないため、☆4にしています。

・ストーリー
宝石が擬人化している世界で、未知の人さらいと戦い続ける物語です。不死の体ではあるものの、次々と破壊され、さらわれていく同胞。貧弱な体を持つ主人公が、仲間に支えられながら、強くなって行く様子は気持ちよく観られます。末っ子特性が当初は鼻につくのですが、徐々に成長していくところも良いです。語られている謎は多く、どのような結末を見せてくれるのか期待度は高いけれど、このアニメの中では、そのどれもがほとんど回収されません。ゆえに一個の作品として評価するには厳しいものがあると思います。

・演出/作画
それでも☆4なのは、漫画が表現しているこの独特の世界観を、全編に渡ってモーションキャプチャの3Dアニメとして描くことで、完璧に昇華させたと思えるからです。このクオリティ、テレビアニメとして他を圧倒しています。強いてあげるなら、劇場アニメ「アップルシード」「イノセンス」あたりに比肩します。セル画を評価されるみなさんがいることは存じ上げておりますが、この世界観を表現する上で、この手法を使用したことは見事としか言えません。しろvsダイヤモンドの戦闘シーンは必見です。

・音楽
特にオープニングはアニメーション共々いいですね。

・演技
ほとんどの役はほんのちょい役に過ぎないのに、よくもまあ、これだけ豪華なメンバーを集められたもんだ。詳細はwiki、公式ホームページあたりをご参照ください。もちろん知名度だけでないです。ほんのちょっとのセリフにもかかわらず、これだけの人たちが揃って持ち味を生かしてくれているので、相当多い登場人物もしっかり色分けされています。
主役は黒沢ともよさん。若手の中でも代表格のお一人ですね。「結城友奈は勇者である」の犬吠埼樹も並行して放映されていましたが、異なる声でキャラを演じ分けています。こちらで、テンポの良さ、掛け合いにおける間の取り方のうまさ、子供っぽい序盤からクールなキャラに変わって行く心情の表現の巧みさ。2017年度の声優アワード主演女優賞受賞もうなずけるってもんよー。て言いそうな犬吠埼風役の内山夕実さんもこの作品には出ており、その関係でか、金剛役の中田譲治さんが「結城友奈は勇者である 勇者の章」にゲスト出演のような形で、ほんの一言だけ参加しています。黒沢ともよさんは「ゆゆゆ」のファン感謝イベントである「満開祭り」の締めに、感動的なコメントを聞かせてくれていて、とても賢い方でもあるのではないかな、と思いました。

これだけのものを観せてもらって、お賽銭も投げないのは、バチが当たるかもしれませんw

2018年5月16日水曜日

恋は雨上がりのように vs ヴァイオレット・エバーガーデン

恋は雨上がりのように        総合:☆☆☆☆
ヴァイオレット・エヴァーガーデン  総合:☆☆☆☆

本来なら、特に「恋は雨上がりのように(以下、恋雨)」はTVドラマ「ポケベルが鳴らなくて」あたりを連想するし、大抵はそういう禁断の恋を楽しみに、この作品に興味を持つと思うのですが、筆者はそのような単純な年の差恋物語とは違うものだと思っています。保護者的な男性への想いを足場にして、未来へ羽ばたいていくことを両作品は描いていると筆者は感じました。
はっきり悲恋な分、微妙に「ヴァイオレット」の方が好きかな。「恋雨」も原作の雰囲気を壊さずにうまくアニメ化していると思います。「恋雨」は☆3に近い☆4、「ヴァイオレット」は☆5でもいいくらい。でも、円盤までは買わないだろうなあ。
「恋雨」は漫画が原作。完結済み。完読済み。イベントは原作通りなのだけど、ラストでお話が少し変わった気がします。
「ヴァイオレット・エヴァーガーデン(以下、ヴァイオレット)」ラノベ。未読

・ストーリー
「恋雨」
立ち止まっていた二人が出会うことで、自分が本当にやりたかったことを思い出し、前に進んでいく物語です。あまり違う世界線を見せず、ここに集中した伏線をもっとちゃんと張っていたり、友情の方を最初からあと僅かでも丁寧に描いていると、より楽しめる作品になったのではないでしょうか。
店長のセリフがいろいろな文学の引用だったり、示唆に富むメッセージだったりするのだけれど、その場面や心境にあっていて、いやらしさを感じないのが良いです。
「ヴァイオレット」
戦闘機械としてしか生きられず、心を持たなかった少女が、戦う必要がなくなった世界で、上官の残した「愛してる」の意味を探し求めていく中、全てにおいて依存していた上官に対する気持ちを心に残しながらも、戦争の悲しさを知っていくことで、独り立ちを果たす少女の成長、残してきた気持ちの本当の意味を理解し心そのものを取り戻していく様子を描いています。不幸な少女に、なんとか幸せになってほしい、と見続けていくことになるのですが、それは、ある意味叶えられていくことになり、それが、心に残る読(視聴)後感になっていると感じました。
甲乙つけがたいストーリーです。

・作画
「恋雨」は普通のアニメ。破綻もなく安定して見られます。
「ヴァイオレット」は少し変わった絵柄。好き嫌いは分かれるかもしれません。原画も動画も安定していて、安心して見続けられます。アクションも普通のセル画なんですがとても良いです。

・音楽
「恋雨」OP/ED とも良いのですが、EDが特にお気に入りです。二人の平行線を表す悲しげで綺麗な曲が多いです。
「ヴァイオレット」
普通に場面を盛り上げてくれる安心の楽曲群です。

・演技
「恋雨」の平田広明がなかなか。アニメでもよく聞く名前だけど、スーパーサブ的な位置付けの人ですよね。ただ、外国映画の吹き替えの世界ではスーパースターで、ジョニー・デップの主吹き替え者です。確かな演技力が、下世話な恋物語とは違うものにしてくれています。ヒロインの渡部紗弓さんはあまり表舞台に出てきていなかった人のようです。まあまあ。
「ヴァイオレット」
脇も充実してますね。ヒロインの石川由依さんといえば、ミカサ・アッカーマンとなると思うのですが、ここでは心のない人形を一言一言を丁寧に語りかけることで、ヴァイオレット・エバーガーデンその人になっています。



2018年5月15日火曜日

刻刻 vs シュタインズゲート

刻刻         総合:☆☆☆☆
シュタインズゲート  総合:☆☆☆☆

「刻刻」は完結している漫画が原作。完読。「シュタインズゲート」(以下シュタゲ)はゲームが原作。未プレイ。時間を扱ったアニメ同士、ということで。

・ストーリー
タイムパラドックスを扱ったSFが大好きです。筆者的バイブルは巨匠ハインラインの小説「夏への扉」。2分の1の確率で作戦の成否を決める博打のような展開がどうも今ひとつですが、冒頭で出てくる猫のピートの情景が頭にこびりついて離れません。幼馴染属性、年の差属性のヒロインはオタク好みでしょう。「シュタゲ」にもこの属性に近いヒロインが出てきて、このヒロインを守るため、数多の悲劇を乗り越え、大事なものを犠牲にします。
「シュタゲ」が描く世界は平行世界。「シュタゲ」では、タイムリープはあくまで道具。平行世界の方に主眼があり、タイムリープを応用して同じ時間軸の並行世界を移動しています。TVアニメ「魔法少女まどか☆マギカ」は同じ特徴を持ちますが、小説「僕は明日、昨日のきみとデートする」、小説「虚構推理」、新海誠監督アニメ映画「雲のむこう、約束の場所」、などなどなど、平行世界を扱った作品は枚挙にいとまがないものの、それらと区別できる特徴です。また、「まどマギ」との区別では、「シュタゲ」では「変えてしまった未来を『元に戻す』」ことを目標としている点があります。これがこの作品を独創的にしていると言えるかと。「シュタゲ」では、そのために支払わなければならない大きな代償と、代償を自覚した主人公の葛藤が丁寧に描かれていて、おちゃらけた雰囲気から始まる作品も、話数が進むに連れてシリアスになっていき、どんどん引き込まれます。最初の頃の主人公の変人ぶりに嫌悪感を抱かず、なんとかこらえて、最後まで観ましょう、是非。
「刻刻」。こちらは時間の止まった世界で自由に動くことのできる人たちの物語。これはかなり独創的だと思うのですが、どうでしょう。サイボーグ009島村ジョーの使う加速装置が、それと似た状況を作り出すことができますし、こういう能力が描かれることはあるけれど、止まった世界で生きることについてまでもテーマにしている、あまり例を見ない作品です。俗人ならこの状況、悪魔の囁きに負けてしまいそうになる極めて魅力的な世界なのですが、そこをあえて避けたストーリー展開が面白くもあり、あえて避けてしまったがために、動機付けが若干突飛すぎて、分かりづらくなっているのは難点でしょうか。さらにヒロインのラストはちょっと御都合主義と言えなくもない。それでも止まった世界の設定と展開の面白さが、なんとか欠点を上回ってくれていると感じました。

・作画
まあ、まあ。なぜかこの2作品。円盤が他に比べてだいぶ安い。「シュタゲ」は放送後、だいぶ時間が経っているのでわかるのですが、「刻刻」も。その分、円盤買ってもいいんじゃないでしょうかレベルも下がり、両方及第点かな、と。気持ち「刻刻」の方が安定しているかな。絵柄もわずかな差で「刻刻」の方が好ましいです。

・音楽
聞けば、ああ、あの曲か、と思い出せるかな。「刻刻」のエンディングはアニメーション込みで好きです。

・演技
「シュタゲ」は花澤香菜さんと宮野真守さんが特に良いかな。しょこたんが元ネタと思しき「トゥットゥルー、まゆしぃです」は名台詞ですねw
「刻刻」。基本的にみんな上手いなと思うのですが、真がなあ。

2018年5月14日月曜日

2クール目に入った2018年1月スタートアニメ 中間感想

2クール目に入っても見続けている2018年1月スタートアニメの中間感想をば。☆2は抜けあり。筆者の好みのご参考までに。

インターミッション、ダリフラ2回、刀使1回、BEATLESSに至っては4回。。。作画のクオリティを上げるためならそれでも仕方ないのだけど、インターミッションの数と作画のクオリティは必ずしも比例していない。

☆☆☆☆☆
・ダーリン・イン・ザ・フランキス(※6/4加筆)
(ちょっと演出過多や、説明を会話にする手法が気になる。1話だけ取ってみても「溺れてる?助けなきゃ!」て言わなくても観りゃわかるし、「フランクスは一人では乗れないはず」とか別の場面で説明してほしかったな。台詞回しも悪いがそもそも脚本の問題だな、と。それでも、毎回、謎を残してワクワク感を継続するストーリー。アスペクト比などを効果的に使用した演出。美しい原画、自然な動画、センスの良いカット、安定している作画。印象的な音楽。聞き入ってしまうOP/ED。立っているキャラと際立たせる声優陣。ついつい、毎回視聴後に何回も繰り返し観てしまいます。15話も良かったけど13話がやっぱり一番かな。ゆゆゆ 勇者の章のように少し起承転結の承の部分が長くなっていて、6月上旬はやや退屈。クライマックスに向けて必要な物語なんだろうと、信じてるけど。)

☆☆☆☆
・刀使ノ巫女(※6/4加筆)
(作画がとにかく残念。設定は面白いと思うのだけどなあ。キャラも7人の侍のような格好良さがあるし、英雄となって終わりでなく、後日談として続いているのも、なかなか面白いアプローチで、かつ、機動戦士Zガンダムのアムロ・レイやクワトロ・バジーナのような情けなさがないのも良い。1年戦争・アムロのように諸々乗り越えて圧倒的な強さをみせてくれるところが自分的には好み。前半クライマックスの11結芽の回&12話も良かったけど、21話もなかなかだったので、後半のクライマックスも楽しみ。6月上旬の回単発での比較ではダリフラよりも再生回数は上回っています。)

☆☆☆
・バジリスク〜桜花忍法帖〜
(前作を漫画で読んで、グロいんだけど、シュールな感じが良かったので、続編として楽しんでます)
・BEATLESS(※6/4加筆)
(作画が残念。ブレードランナーと同じようなテーマにAIの進化がもたらす近未来の世界観を描いていて、筆者的には設定が魅力的。このテーマを消化しきれていない気はします。アナログハック、なかなか面白いキーワードです。事前CMでのキャッチコピーでもあった最初の約束を破ったら、☆は2に格下げです。)
・7つの大罪 戒めの復活(再)
(普通の少年漫画として楽しんでいます)
・グランクレスト戦記
(作戦を立て、戦略を練り、戦術を駆使して戦う。ただ、そこと、結果(成功・失敗)の因果関係を描ききれていないように感じるのが残念。戦術にオイオイって女の使い方をするのが極めて残念。劉備の軍師を女の子にするとこうなります、て感じかな。孔明にしては失策が多いけど)

☆☆
ソードアート・オンラインII (再)
(なんか、終わったと思ったのに続いているのね。ゲーム内世界とリアルの融合を実現するにはこの設定しかないのかね)
アイドリッシュセブン
(ストーリーが予定調和的で、意外感がない。逆に言えば、安心して観れるし、清々しさはある。それでもなお、ホスト系アニメは余程のことがないと見続けられないこと、ご容赦ください)

2018年5月13日日曜日

ラーメン大好き小泉さん vs だがしかし

ラーメン大好き小泉さん  総合:☆☆☆
だがしかし        総合:☆☆☆☆

(「月がきれい」を☆☆☆☆にしてしまったから続くアニメの評価がしづらくなってしまったぞ。とりあえず「月がきれい」は☆☆☆☆☆扱いで。)

両方とも漫画原作、現在進行形。「ラーメン大好き小泉さん」(以下、小泉さん)は最新刊を除き完読、「だがしかし」は既刊完読。食べ物(商品)を取り上げたアニメ同士ということで。

・ストーリー
まあ、とにかく、ちゃんとしているこの手のアニメを観ていると、それらを食べたくなりますね。両作品共このハードルは軽々クリア。ウンチクも豊富で、知識を広げてくれます。ただ、「だがしかし」の方がラブコメ的要素も強く持っている分、ワクワク度は高いので、☆一つの違いを。ライバルヒロインの一途で可愛い性格と見た目とのギャップが良いです。「小泉さん」では小泉さんと友達になりたい女子の妙な気持ち悪さ(でも許せる)がラーメン一辺倒ではない作品にしてくれています。

・作画(制作)
「小泉さん」は、studio五組。一昔前のアニメを観ている感じです。
「だがしかし」は最近では「月がきれい」「ヒナまつり」のfeel.。安定しています。
原作者が違うので仕方ないのですが、「だがしかし」のキャラの方がよりキレイに可愛く見えます。

・音楽
特別何かってのはないですが、OP/EDは良いですね。

・演技
「けいおん!」以来、ずっと大活躍している竹達彩奈さんが両作品のヒロインを演じています。上手ですね。
「小泉さん」で、小泉さんに偏執的な付きまといをみせる一歩間違えれば危ない役に佐倉綾音さん。その振る舞いから普通なら気持ち悪くて受け付けられなくなるところを紙一重で躱している演技は流石です。他に「グランクレスト戦記」のシルーカ役などで、最近、表舞台に出てきた鬼頭明里さんも、ナルシスぶり爆発の役を嫌味ないキャラにしてくれていて良いです。
「だがしかし」のライバルヒロインには沼倉愛美さん。竹達さんと共に、もはやベテランと言えるふたりが、安心して没頭できる作品に仕上げてくれていると思います。

2018年5月12日土曜日

このはな綺譚 と ハクメイとミコチ

このはな綺譚    総合:☆☆☆☆
ハクメイとミコチ  総合:☆☆☆☆

両方とも現在進行形の漫画が原作。両方とも原作は未読です。

・ストーリー
連続性はあるけれど、短編を組み合わせた構成です。ラストも緩やかにまとめられていて、尻切れとんぼ感がないのは良いです。人ではないものの物語ですが、心温まるような日常を描いているところに共通点があります。両作品共、年齢を問わずに安心してふわふわ楽しめるのではないでしょうか。

・作画
「ハクメイとミコチ」の絵柄はアニメにあっているようですね。「このはな綺譚」も特に破綻のない原画動画で最後まで見せてくれるので、両作品共、いい感じです。

・演技
みなさん、上手ですね。その中でも、
「ハクメイとミコチ」ミコチ役の下地紫野さんが気になっています。しっかりとした下積み期間を経て、去年今年とブレイクしているようです。サブキャラの悠木碧さんの向こうを張る歌唱力も披露されています。
「このはな綺譚」には何気にファンの大原さやかさんがヒロインの育ての親役で出演されています。大原さやかさんはゲーム「戦場のヴァルキュリア」セルべリア役から気になり始めました。京王線上りホームの構内アナウンスをされていることから、勝手に身近に感じています。

2018年5月11日金曜日

攻殻機動隊 vs 攻殻機動隊2.0

攻殻機動隊   総合:☆☆☆☆☆
攻殻機動隊2.0  総合:☆☆

公開はちょっと古いのですが、GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊(以下、初期)とイノセンスのセットが4Kで6月に発売されるようなので、久しぶりに観直しました。なんだか、相変わらず、パッケージだけを新しくしたような意味のないバージョンアップの繰り返しで、お布施を要求し続けますね、この作品。初期の名前に泥を塗ってるとしか思えないです。その最たるものが2.0です。今回の4K化でも2.0ではなく、初期とイノセンスのセットみたい。世間の評価だけでこうしたのでは無いでしょう。送り出した側も恥を知っていた、という意味では、結構なことですが、そもそも初期を4Kにする意味があるんでしょうか。価格破壊で大型テレビが益々普及した現在の状況に合わせて、大画面にも耐えられるようにした、てことかもしれませんが、あれだけ金かけてバージョンアップした2.0でさえ、あの中途半端な出来栄えです。無駄金使わされるような気がします。もちろん、4Kの円盤が出るまで待っててよかったよー、というファンの方はいないと思いますが、今まで円盤に手を出してこなかった方々にとって、この組み合わせは良いセットだと思います。

士郎正宗原作(漫画)を押井守がアニメ映画化した初期と、特に映像をバージョンアップしたとの触れ込みで発売された2.0。筆者は初期だけ欲しかったのですけど、当時、初期を見るためには中古か2.0とのセット販売を買うかしかなかったので、後者を予約して買って観ました。原作、完読です。

・ストーリー
SFとして面白いです。記憶の外部化による近未来の人の存在を描いていて、説得力があります。アニメは原作にわりと忠実。原作、アニメとも、それぞれがそれぞれに独特の雰囲気を持っていて魅力的です。初期と2.0にストーリーの違いはないです。時代に合わせて、ECをEUと吹き替え直したことくらい、でしょうか。

・作画
初期は、テレビアニメと違いますので、それなりにしっかりしてます。車などの機械の動きも今のような立体感・リアリティ感はありませんが、セル画でここまで自然にかけるのは、当時としては大変だったのではないでしょうか。ただ、少佐の顔に統一感がないのは気になります。
2.0。映像のためにバージョンアップしただろうに、こんなに中途半端では、2.0を語っちゃいけません。6、7割は初期そのままを使っているイメージで、もう、統一感のかけらもありゃしません。せっかくCGでダイブしたのに、途中からスパッと初期のセルになる。違和感ありまくりです。CGの少佐が嫌いなのではありません。作品として、2.0を名乗るなら、ちゃんと全部、少なくとも違和感を感じさせないように絞ったシーンだけ、例えば、戦闘シーンだけとかをCG化して作り直して欲しかった。でないと、ひとつの作品として成立しないと思うのです。イノセンスでは背景はCG、キャラは2Dでまとめられていたので、それは中途半端ではなく、表現としてありだと思えました。今時のテレビアニメでも、自動車やロボットなどの動きはCGで、とか、ダンスシーン・戦闘シーンはモーションキャプチャーで、とか、全体としての違和感はあるけれど、そう表現する意図、作品で強調したい部分をより良く観せようとするポリシーを感じられるのですが、2.0にはそれがないのです。TVアニメなら、タダで観ているので、ここまでは言いませんが、鳴り物入りで高い円盤を発売して観せたのですから、購入者の期待に応えて欲しかったと思うのです。

・音楽
西田和枝社中を起用した川井憲次さんの楽曲が素晴らしいです。

・演技
田中敦子さん、大塚明夫さん、山寺宏一さん、大木民夫さん。安心して観れますねー。初期と2.0の最大の違いは、人形使いの声を家弓家正さんから榊原良子さんに変更したことでしょう。CG化は極端な話、見た目だけですから作品本来に決定的な影響を与えないのですが、この変更は、作品自体を大きく変えてしまいました。榊原良子さんは押井守監督の信頼厚い人らしく、この作品のキーとなる人形使いを信頼している人に任せたい、女性にした方が面白くなりそうだ、との理由で代えたようなのですが、初期のイメージが強すぎるせいでしょうか、筆者には成功しているとは思えませんでした。

蛇足ですが、ハリウッド版について。少佐をスカーレット・ヨハンソンではなく「アンダーワールド」シリーズのケイト・ベッキンセイル(吹き替えはアンダーワールド同様に田中敦子さんでw)にして欲しかった。

2018年5月10日木曜日

月がきれい vs Just Because!

月がきれい   総合:☆☆☆☆
Just Because!  総合:☆☆

両方ともオリジナルアニメ。学園青春モノで現実的な物語同士です。「月がきれい」は中学3年生、「Just Because!」は高校3年生が舞台。この位の3歳の年齢差はかなり大きいと思うのですが、ほぼ似たような恋愛模様で「Just Because!」が少しウブな感じ。「月がきれい」は「四月は君の嘘」「聲の形」、映画アニメだけど「秒速5センチメートル」等と比べると気持ちインパクトに欠けるので、星を一つ減らしているものの、この淡々とした感じも十分に魅力的なので、限りなく☆5に近い☆4です。「Just Because!」は最後まで観たけれど、途中何度も挫折しそうになっていたこと、最後まで観終わって、やっぱり途中でやめても良かったと思ったことから星を一つ減らしています。なにかと評価の高い「Just Because!」ですが、この2作品には☆2つほどの差がある感想を持っている点を考慮しています。

・ストーリー
関係の形や変化を書くと重要なネタバレになってしまうので、やめておきます。
双方の作品が表現する人間関係について、「月がきれい」で表現する心情は納得できますが、「Just Because!」の方は、理解はできても納得できないのです。
この2作品はそれぞれ、一途な恋vs揺れ動く恋、を見せてくれていると把えています。納得しやすいのは前者だと思います。それに惑わされているだけかもしれません。しかし、揺れ動くのは結構なのですが、そこに、感情より、打算みたいなものを、筆者はどうしても感じてしまうので「Just Because!」にのめりこめないでいます。両作品共「振る」場面があるのですが、「Just Because!」の振り方はどうなんでしょう。揺れ動く様を表現したいのでしょうが、現在フリーだから言い寄ってくる嫌いでは無い異性を保険として残しておきたい気持ち、好意を持っている人が自分とは別の人を好きそうなので安パイに流れてしまうような心情変化、そう意識してしまうのです。理解はできますが、そんなお話をわざわざ観ることもないな、と思ってしまうのです。これを深い、今時の若者の気持ちを代弁している、とできるほど、筆者は若くは無い、いや、むしろ精神的には若過ぎる?wということなのかもしれませんね。
追加として、ホームラン打ったら彼女のところに行くぞー、行けー、みたいに見えるのに、一体その後、どこに行ったのかわからないシーンを筆頭に、全体的に登場人物の不思議な振る舞いを「Just Because!」側により多く感じているのも、星の差としているところです。

・演出
「月がきれい」は岸誠二監督。観終わって、なにかに似ていると調べたら「勇者であるシリーズ」の監督でもありますね。場面展開なんかは本当に上手です。岸カラーとでもいうのでしょうか、説明的な会話を極力無くして、ほんのちょっとしたカットで背景や設定を十分に伝える演出に、とても好感を持っています。また、お話では最初のうち、メインの二人の間には、なんだか「ため息」とか「感嘆符」だけのようなセリフ?が多過ぎて、まどろっこしいな、と思っていたのですが、話が進むにつれ、徐々に少なくなり、反対に会話が多くなっていく様子や、最初は友達との絡みを多く描き、話が進むにつれて徐々に二人の世界が増えていく構成など、たどたどしさの変化の演出、社会的な変化の演出、見事なものだなあ、と。ミスリード手法も相変わらずで(I love youを月がきれいですねと意訳したのは太宰だっけ、夏目漱石だっけ)と心の声を聞かせた後に口をついて出た言葉が「つき○○○○○○○」。これ、予想できた人は相当ひねくれ者かと。勇者であるシリーズ共々、桜の取り入れ方もいい感じです。なのでつい「秒速5センチメートル」を思い出してしまうのですが。ついでに、エンディング後のショートストーリー、かなり面白い。
「Just Because!」にも、ラストシーンで二人がニヤリとしてから歩み寄るところや「だめ」の場面など、作品全体が良ければ名場面になってたであろう部分もあるし、全体に流れる雰囲気は良かったので、なんか惜しい、と思っています。みんな、場酔いしてるんじゃ無いかしら?と言ったら言い過ぎでまずいですかね。すみません。

・作画
「月がきれい」は、エキストラがそこまでリアルに動かなくても良いような気もしますし、メインが普通のアニメーションなので、若干違和感すら感じますが、メインの原画動画が共に安定していますので、円盤買っても良いレベルじゃ無いでしょうか。「Just Because!」は顔がちょっと崩れたり、動画が固かったりする場合があるので、少し残念かな。

・音楽
両作品とも綺麗で効果的です。「Just Because!」のやなぎなぎさんは良いですね。エンディング曲は特にお気に入りです。

・演技
「月がきれい」のヒロインに、あまり綺麗な声の人を使わなかったのはなぜでしょう。ため息の演技力ですかね。OP/ED/挿入歌を歌うのは東山奈央さん。役と歌のギャップがすさまじい。 「Just Because!」の方は普通の喋り方で演技をしてくれているので、落ち着いて観られます。それが今までのアニメには少ない雰囲気作りにつながっているものと思います。

2018年5月9日水曜日

からかい上手の高木さん vs 3D彼女リアルガール

からかい上手の高木さん 総合:☆☆☆
3D彼女 リアルガール 総合:☆☆

両方とも学園恋愛アニメですが、「高木さん」の方はコメディ色が強いので、本来のジャンルは微妙に違います。ただ、共通して言えるのが、原作(漫画)を読むことをお勧めしたい点にあるため、二つを並べてみました。「高木さん」はファンが多そうなので、感想を述べるのは危険度満載なんですが、あえて、原作推しを言っておきたくて。同じ山本崇一郎漫画をアニメにするなら、高木さんと並行して連載されていたのに突如中止された「ふだつきのキョーコちゃん」の方がマッチするんじゃないかなあ。
同ジャンルで比べるなら、「3D彼女」は「となりの怪物くん」あたりと比較するべきなんでしょうけど、「となりの怪物くん」のアニメは未視聴なんです。その上、「3D彼女」は放映中での感想となっています。ごめんなさい。でも、最後まで観るまでも無い気もしないではない。

・ストーリ
「からかい上手の高木さん」は中学同級生の友達以上恋人未満の関係を描いています。この頃の男子からすると、女子の方がマセてるように感じるものだと思いますが、これを上手くギャグ化している秀作です、漫画では。これがアニメになると、ただ、小っ恥ずかしいだけになるのは何故なんでしょう。むしろ、時折挿入される「あしたは土曜日」の方に好感が持てます。
同じことが「3D彼女」にも言えて、漫画では良い人が先に立つため、根暗なオタクの気持ち悪さを左程感じないのに、アニメでは強調されてしまっているように思えます。

・作画
「高木さん」は力が入っているのでしょう、安定しています。「3D彼女」は円盤買うクオリティには無いようです。

・音楽
まあ、普通に背景かな。

・演技
「高木さん」の主役にむむむ。西片役の梶裕貴さん、どうしちゃったんだ。西片が、とっても意地悪に見えちゃうぞ。主役に感情移入しづらいのはかなりのマイナスだなあ、と思うのです。高木さん役の高橋李依さんも「デスマ」「ゆるキャン」「こみっくがーるず」では素敵なのに、「高木さん」では、微妙な恋心を何とか表現されようとしているのか、なんか笑い方をあえて無機質な感じにしていて、ちょっと違和感があります。
「3D彼女」の主役はむむむむむ。。。

「高木さん」は連載中。「3D彼女」は完結しています。原作既刊完読しています。
両方とも、高い円盤買うなら、原作で十分じゃないかなあ。

2018年5月8日火曜日

BanG Dream! vs アイドリッシュセブン

BanG Dream!      総合:☆☆☆
アイドリッシュセブン  総合:☆☆

音楽もの。ガールズバンド vs 男性アイドル。
アイドリッシュセブンは全部は観れていないけど、ゲームを原作としていて、作画(ダンスパートが特に)もストーリーもしっかりしていてソツがないです。反面、少し予想がつきやすい展開と、ホスト系アニメのテイストにどうしてもついていけず、挫折しました。
BanG Dream!もストーリー的には同様だし、作画も劣っていたけれど、それでも観続けることができたのは、少女頑張る系のお話だったのと、セリフの間が独特で何となく惹きつけられたこと、EDが良かったこと、でしょうか。

今回は休憩です^^;


2018年5月7日月曜日

少女終末旅行 vs キノの旅

少女終末旅行 総合:☆☆☆☆
キノの旅   総合:☆☆☆

旅対決。SF vs ファンタジー。星はちょっと辛め。それぞれ、☆一つづつ増やしてもいいかな。少女終末旅行の原作は漫画で、アニメとほぼ同じ時期に完結しました。若干、アニメを見終わった時の印象と漫画の読後感は異なりますが、ほぼほぼ原作通りに進んでいます。全巻既読。キノの旅の原作はライトノベル。全巻未読。

・ストーリ
少女終末旅行のこの世界観は完全オリジナル、と言っていいのではないかな。二人だけの世界が淡々と進み、二人だけの世界で完結します。飛び入りはあるものの、その飛び入りが、二人だけの世界をむしろ強調しています。世界は物悲しく静かで冷たいけど、生存の為のみに旅をしている彼女らの、テンションの低い明るさが、その世界には丁度良く、ケッテンクラートのゆったりとしたエンジン音と共に、雪に穏やかに吸収されていくようです。作品の中では、戦争を起こした人類へのメッセージも伝えられていますが、押し付けがましさはなく、よくよく考えれば相当不幸な境遇下である彼女らへの共感に、自然に置き換えられていきます。
キノの旅は、イソップ物語でしょう。なるほど、と思えることもあれば、それは説教くさいな、と思う場合も、人によってはありそうです。マシンを擬人化していますが、はじめこそびっくり違和感ありまくりで、そこが狙いか、と思ったものですが、最後には、喋る相棒がマシンである必然性をあまり感じられなくなったのが減点です。むしろ少女終末旅行の物言わぬケッテンクラートの方が、より雄弁に語りかけてきます。

・作画
少女終末旅行の原作の線の細さは飛び切りだけど、気持ち太くして、アニメとしてみやすくしているようです。絵柄がアニメ向きなのか、動画も違和感なく安心して観られます。
キノの旅は安定の一言。

・音楽
サントラは背景かな。この2作品もOP/EDが、なかなか。

・演技
水瀬いのりさんは今、あちらこちらで大活躍中ですが、ここでも良い仕事してますね。相方の久保ユリカさんとの相乗効果で、原作を読んだ後でも、この二人が作るアニメ「少女終末旅行」の世界に違和感なく溶け込んでいけます。飛び入り参加する一人、一体、一匹役の声優さんたちも、演出が上手いのもあるのか、世界をあるべき方向に広げてくれています。石田彰さん、花澤香菜さん、三石琴乃さん、梶裕貴さん、島本須美さん。中でも花澤香菜さんのヌコが可愛い。どんなアニメのどんな役でも、その存在感でその場を染めてしまう力量はすごい。
キノの旅のキノ役は、絶賛・悠木碧さんです。もはやコメント不要。花澤香菜さんと悠木碧さんはアニメ「三月のライオン」で共演していますが、悠木碧さんはいじめを行う悪役をこなしています。もうねー、女ゲイリー・オールドマンかと思っちゃいます。

2018年5月6日日曜日

2018年4月スタートアニメ 中間感想一覧

今回は4月スタートのアニメが、ほぼほぼ3話を超えてきましたので、中間感想を単純に列挙してみたいと思います。筆者の好みのご参考までに。再放送も含まれます。抜けもあるかも。
(ハードディスクの空き容量が足りない。。)

☆☆☆☆☆
・ヒナまつり
・踏切時間

☆☆☆☆
・フルメタル・パニック!Invisible Victory
・ひそねとまそたん
・レイトンミステリー探偵社
・こみっくがーるず
・多田くんは恋をしない
・シュタインズ・ゲート ゼロ
・重神機パンドーラ
・東京喰種:re
・ゴールデンカムイ
・実験品家族
・ウマ娘 プリティーダービー
・やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。

☆☆☆
・若おかみは小学生
・LOST SONG
・メガロボクス
・ヲタクに恋は難しい
・銀河英雄伝説
・ありすorありす
・3D彼女 リアルガール
・神様はじめました
・アイドルマスター シンデレラガールズ劇場
・魔法少女サイト
・あっくんとカノジョ
・デビルズライン
・ピアノの森
・Caligula-カリギュラ-

☆☆
・ニル・アドミラリの天秤
・ラブライブ!サンシャイン!!
・あまんちゅ!~あどばんす~
・Cutie Honey Universe(坂本真綾なのにー)
・かくりよの宿飯
・宇宙戦艦ティラミス
・蒼天の拳
・魔法少女 俺
・鹿楓堂よついろ日和
・カードキャプターさくら クリアカード編
・ラストピリオド-終わりなき螺旋の物語–
・Butlers~千年百年物語~
・妖怪人間ベム
・ゲゲゲの鬼太郎
・奴隷区
・されど罪人は竜と踊る
・Lostorage conflated WIXOSS
・新幹線変形ロボ シンカリオン
・15歳 今日から同棲始めます
・甘い懲罰
・美男高校地球防衛部
・フォーカード
・メジャーセカンド
・ペルソナ5
・SNSポリス



(いまのところ☆1は「王様ゲーム」のみです。)

2018年5月5日土曜日

ヤマノススメ vs ゆるキャン

ヤマノススメ 総合:☆☆☆☆☆
ゆるキャン  総合:☆☆☆☆

魔法使いモノから全く異なる分野ですが、要はなんでも観ます、女性が主役なら。
前者は第一期が5分枠、第二期が10分枠アニメ。後者は通常の30分枠アニメです。短編枠アニメでこれだけのクオリティに敬意を払い星5です。ゆるキャンも限りなく星5に近いです。

・ストーリ
原作が漫画で現在進行形の2作品。明確な結末があるわけでもないので、その点、まとめ方を気にすることなく安心して観られます。とにかく、これ観ちゃうと、山に登りたくなり、冬キャンプしたくなる安心の面白さです。専門家的には、いろいろ危なっかしいこともあるようなのですが、大人の皆さんには、これをハウツーバイブルにしようとする人はいないでしょう。モチベーションさえ上げてくれれば十分だし、その役割をきっちり果たしていると思います。そもそも、両作品共、女性同士の友情の物語であり、媒介として山登りや冬キャンを使っている構成なので、お話として、まずは面白いのです。
少し脱線します。現在進行形の漫画に「山賊ダイアリー」という人気作品があります。こちらは、人があまり知らない狩猟の世界や、捕った獲物の料理を紹介することに、どちらかといえば徹することで成功している作品なのですが、このような、未知の分野紹介漫画とは異なるのが「ヤマノススメ」や「ゆるキャン」の持ち味です。

・作画
絵柄も、安定した原画も動画も、「ヤマノススメ」の方が好ましく筆者は思います。絵柄は好みもありますからね。「ヤマノススメ」はあまりデフォルメした表現を使わず、普通に可愛い感じです。「ゆるキャン」はデフォルメが可愛いです。

・音楽
サントラは背景として優秀です。それより、OP/EDの曲が、この2作品共、かなりお気に入りです。「ヤマノススメ」に至っては、5分枠なのに、ここを飛ばして視聴なんて、出来ないなってくらい。

・演技
「ヤマノススメ」は本当に5分枠なのか、と疑いたくなるほど、実力派の声優さんを揃えていて、「なんだコイツ」というセリフにもなぜか悪意を感じさせない、口喧嘩でもなぜかトゲトゲしさを感じさせない。「ヤマノススメ」のふんわりした世界観を壊さないでくれています。井口裕香さん、阿澄佳奈さん、日笠陽子さんに小倉唯さん。最後の方でパーティに加わる東山奈央さん。ヒロインの母に久川綾さん。名前だけでもびっくりですが、名前がなくても、そのお芝居にびっくりです。
「ゆるキャン」もキャラの区別がつきやすい配役、演技で、良い作品にしてくれていると思います。中でも、花守ゆみりさんは、「ゆゆゆ」で三好夏凛の水泳に感動して声をかける女子生徒役から「鷲尾須美は勇者である」の三ノ輪銀役に駆け上がってきた人なので、気になってます。銀とは全く異なる声とキャラの各務原なでしこ役でもぴったり演技。びっくりです。


2018年5月4日金曜日

幼女戦記 vs 魔法科高校の劣等生

幼女戦記      総合:☆☆☆☆☆
魔法科高校の劣等生 総合:☆☆☆☆

なぜ、この二つか。そう、俺最強アニメ対決です。他にもあるとは思いますが、あえてお気に入りのこの二つで。

ちなみに、原作は、幼女戦記は1巻で終了。魔法科高校の劣等生は既刊全巻完読済み。
なお、幼女戦記の漫画はヒロインの思惑と世間のヒロインに対する評価のズレの表現が絶妙な味を出していて、成功していると思います。魔法科高校の劣等生は、〇〇編ごとに作画が変わり、全巻揃えようという気にはならない出来栄えです。

・ストーリ
原作が現在進行形のこの2作品。アニメとしてまとめきった点で、幼女戦記に軍配が上がり、魔法科高校の劣等生はあまりに尻切れとんぼな状態なのが痛い。続編出る出る詐欺も痛い。映画も痛い。この点が総合評価の差になっています。
主人公は双方魔法使いで、アニメに取り上げられている時代ではそれぞれ世界最強と言えましょう。その理由となっている背景や世界観も、それぞれ十分に納得いく設定となっており、どちらも面白い。転生ものがあまりに氾濫している昨今でも、幼女戦記のそれは、伝統的なリーインカーネーションをベースとしているのが成功していますし、魔法科高校の劣等性では、魔法を科学とした設定が功を奏しています。魔法科高校の劣等生は俺最強の上、ハーレム状態だけど、本人が、それを意識できない設定としているため、あまり嫌らしくなりすぎていないのも、他の作品よりいい点ですかね。幼女戦記のターニャもヴィーシャもアニメ王道の美少女ではないのですが、それが欠点にならないのは、やはりストーリだけでも魅せられる作品だからかと思います。

・作画
比較しちゃかわいそうかもしれませんが、幼女戦記の方が安定しているし、アクションも迫力があって良いです。深雪と十文字がテロの車を止めたシーンの深雪はかっこよかったけどね。ちょっと気になる点を一つだけ。幼女戦記を観ていると、煙の表現が今時はすごいな、と思うのですが、タバコを吸っていた身としては、立ち昇り方が遅いのが気になります。わざとにも思えますが。

・音楽
魔法科高校の劣等生は、音楽があまり自己主張せず、背景として作品を盛り上げています。ヒロインに合わせて美しい感じの曲が多いです。幼女戦記の方はヒロイン側の曲の方がどす黒く、スターウォーズのインペリアルマーチのような存在感を放っています。なお、ブルーレイの幼女戦記は低音をかなり強調していて、迫力が増しています。

・演技
幼女戦記の悠木碧さんは本当にすごいですな。エンディングも歌ってて、この方、歌もうまい。アニメ「ハクメイとミコチ」でも美声が必要なキャラで出演されてましたね。ちなみに現在活発に活躍されている女性声優の中からあえての筆者的御三家は、悠木碧さん、花澤香菜さん、早見沙織さんです。早見沙織さんは、誰をやっても池田秀一(代表:機動戦士ガンダムのシャア・アズナブル)さんと同様、さほどキャラにより声を変えない方なのですが、本当に役にハマる人ですね。キャスティングの妙、だけではなく、演技力の賜物かと。早見沙織さんは両作品に出演され、持ち味の優しい声で、それでいて、やる時はきっちり気合を表現する演技で、作品を盛り上げています。花澤香菜さんも魔法科高校の劣等生に重要なサブで透明感のある声を聞かせてくれています。
そういえば七色の声が出せる三ツ矢雄二さんも、声優にとって、必ずしも七色の声が出せるのは必要条件ではない、と言ってましたね。とにかく、キャラに合った演技力、ですね。

次も行き当たりばったりです。

2018年5月3日木曜日

魔法少女まどか☆マギカ

魔法少女まどか☆マギカ 総合:☆☆☆☆☆

・作画
とにかく、ここ、ちゃんとしてくれてない作品だと、とても円盤を買ったりお勧めしたりはしづらいですよね。魔女の世界なんかもシュールで独創的。本当に革命的なアニメですねえ。
・音楽
音楽担当の梶浦由記さんは、この作品から意識するようになりました。それ以前でもゲーム「ゼノギアス」の2、3などで聴いてたはずなんですが、1の光田さんの曲が良すぎて、なんか、あまりピンと来てなかった。でも、この作品での楽曲は粒揃いです。つい最近、犬の散歩をしていたら、民家からこの作品の曲を弾いたピアノの音が聞こえて来て、いまだに広く受け入れられてるんだな、と思いました。
・演技
他の魔法少女を担当した声優さんも熱演なのですが、とにかくヒロインを当てた悠木碧さんがすごいです。最初は女・碇シンジかと思うような、うざったさを感じさせていたのに、いつのまにか聖母に変わっているなんて。未だに、このキャラも悠木さんなのかと、エンディングを見て初めて気付くことが多くてびっくりするくらい、いろいろな声を出せるだけでなく、男の子だろうが女の子だろうが、おしとやか系だろうが、発狂系だろうが、なんにでも成り切れる演技力が凄まじいです。

できるだけ比較アニメ論的な感想を書いていきたい(例えば、ダーリン・イン・ザ・フランキス vs BEATRESS)のですが、しばらく、単発の感想になるかもです。


2018年5月2日水曜日

結城友奈は勇者である



結城友奈は勇者である  総合:☆☆☆☆☆

・作画
安定してますよねー。シーンが変わると、おっと、違う人になっちまったよ、ていう違和感はほぼ皆無。引いた時の顔も描きわけられているし、動きの速いシーンでも最後までしっかり表情を描き切っていて、TVアニメなのにすごいなあ、と思います。作画がダサいとどうしても、録画で十分だとなるのですが、ここまでクオリティが高いと円盤でも損した気分にならないのでは。studio五組で最近観た「ラーメン大好き小泉さん」や「刀使の巫女」よりもずっとクオリティが高い。「刀使の巫女」なんか戦闘シーンはポリゴンでそれなりに滑らかな動きを提供してくれているのに、通常アニメの方がなあ。原画の統一感のなさも酷いし、お話は面白いのに残念。「ゆゆゆ」並みのクオリティを維持してくれていればなあ。逆にそれだけ、勇者であるシリーズは、studio五組には特別な作品なのでしょう。
・音楽
シーンに応じた感動を誘導してくれていて、理想じゃないでしょうか。悲壮感漂わせるときにはレクイエム調とか、若干定型文なのはあるけど、まあ、あくまで伴奏だし、伴奏とはいえ単体でも十分に聞き応えもあるから、お気に入りです。
・演出
もう、天才的。心情がよく伝わる。表情の描き方など、言葉にしてもらわなくても、きちんと伝わってくる。「私がついてる」という握りこぶしが震えていたり、信じていたものに嘘をつかれた動揺から、ヨロヨロと歩く途中でちゃぶ台に軽くつまずいたり。それらの演出を生かすアニメーションも、すごく丁寧で自然な動きをしてくれます。
あと、特筆なのが、上手に視聴者をミスリードするんですよね。メールを送った後、電話が鳴る。その件かなと、頭に思い描かせた隙をついて、別の件の電話だったり、とかね。ちなみに勇者であるシリーズの続編アニメでもこの手法は健在で、悲惨な結果を想像させたかと思いきやホッとさせ、でもやっぱりみたいな表現をよく使われる。うまいなあ、と思うのです。
・演技
この作品、とにかく、5人の勇者たちの心の動きに視聴者の気持ちを集中させたかったのでしょう。先代勇者以外の他のキャラクターはエキストラレベルでしか現れないです。制作陣の期待に応える形で5人の勇者を担当されている声優さんたち皆さんが、気持ちの入った熱演をされてます。お話がお話なので気持ち入って当然、というのもあるのかもしれませんが、お話を台無しにしないで、安心してストーリにのめりこませてくれるのは、結局は声優さんたちの優れた演技があったればこそ、かと思います。あそこがすごいとかここがすごいとか、細かくあげたらキリがないのですが、9話はとにかくすごいです。

まあ、ちょっと、思い入れが強すぎる感想な気もしないではないですが、とにかくお気に入りの作品の一つということで。つぎは「まどマギ」を。

2018年5月1日火曜日

魔法少女まどか☆マギカ vs 結城友奈は勇者である その3「共通の思い」

魔法少女まどか☆マギカ 総合:☆☆☆☆☆
結城友奈は勇者である  総合:☆☆☆☆☆


魔法少女は魔女と戦うことを条件に、どんな願いでも叶えてもらえます。あくまで自分のために魔法少女になります。登場するキャラのほとんどは、誰かのために願うのですが、ヒロイン以外は結局、自分の身近な者のためのお願いをしていて、回り回って自分のためにお願いをしていることに、ほぼ変わりはありません。このため、魔法少女になった後、想定外の状況に気付くたびに怒り出すものの、インキュベーター(魔法少女を家畜と同様に太らせて食ってしまおうとする宇宙からの使者)の主張に、反論できず、あくまで感情として受け入れられないレベルに陥っているように側からは見えてしまいます。

勇者は神に指名されるため、ほぼ選択肢はありません。世界を救うこと、イコール、自分を救うことになりそうですが、自分は生贄なので、自分が救われることはありません。そして、「世界を救った代償がこれかっ!」と怒る勇者も、その理由は、自分が生贄とされたことよりも、妹や仲間を犠牲にしてしまったことに怒っています。みんなを巻き込んだ自分に怒っているのです。そもそもそういうマインドを持つ少女でなければ、神は勇者に選ばないと言えます。「ゆゆゆ」の時代の勇者には、一応、戦う意思を示さないでも良い、選択肢も与えられていましたが、それに応じない少女も、やはり神は選んでいないでしょう。これらは、「ゆゆゆ」の周辺設定である他の「勇者であるシリーズ」を含めて「観る・読んでみる」すれば、理解できるのではないでしょうか。

舞台設定はこのように違うのですが、クライマックスまでたどり着くと「まどマギ」も「ゆゆゆ」も、大切な人を守りたい気持ちに帰結していることに気づきます。つまり「まどマギ」は個人的な思いから話を進め、普遍的な覚悟で自分が神となり友達の献身に応えつつ全てを救います。「ゆゆゆ」は全体への普遍的な献身から話を進め、最後は個人的な献身で神をも動かし全てを救います。

「ゆゆゆ」は「まどマギ」の最初に示した救いようのない世界観や、結果としてのヒロインの犠牲を、なんとかしたかったのだとは思いますが、二つの作品に共通する「大切な人を守りたい気持ち」に共感できるのならば、両方の作品共に、とても楽しめるお話だと思います。

次回は、それぞれの作品の個人的なお気に入りなどをお伝えしたいな、と思っています。

円盤は高いので手が出しづらいのですが、アマゾンプライムは割とおすすめかもです。M-1の全年度やバッカーノ!やらなんやらは、これで観てたりします。違法海外サイトを観るよりは快適だし、作った人たちに失礼にならないですしね。自分はappleTV経由で普通のテレビで観ています。