ケムリクサ 総合:☆☆☆☆☆
Webで公開していたアニメが原作。たつきさんが監督・脚本等々制作の主要な役どころを担当。制作はヤオヨロズ。
2019年1月スタート。全12話。日清の広告がシームレスに始まったのは面白かった。
・ストーリー
あかぎりと赤い機械型のムシが支配する退廃した世界。赤いケムリクサを本体にしている女性型生命体7体が、生命を維持するために必要な水を求めて、襲いかかるムシと戦いながら廃墟を彷徨う。そこへ、緑基調の男性型生命体が突如現れる。女性型生命体は、彼を赤くはないけどそれらとは違う自分たちに害をなすムシ?と警戒しながらも、自分たちと同じ言葉をべらべらと喋るワカバと名乗る生命体と行動を共にしているうちに、いつのまにか仲間として受け入れ、一緒に旅を続けることで、あかぎりとは、ムシとは、ケムリクサとは、そして、自分たちとは一体なんなのかが解明されていく。
・演出
舞台装置として、モノトーンとは言わないけど、とても限定した色だけを使って独特の世界観を作り上げています。こういう色調は好みです。脚本もたつきさんカラーでとても可愛らしい台詞回し。不思議なやりとりも無くスッとこの赤い世界に引き込まれていきます。考察好きにはたまらない、謎でいっぱいの設定は、見るものにある程度の自由度を与えたまま、徐々に解明してみせていきます。このテクニック、手腕は高く評価していいんじゃないでしょうか。ただし、はっきりとした謎解きが好きな方には、ちょっと残念感が漂うかもしれません。
・作画
結論から。優秀です。全編を3DCGで描いているケムリクサの作画は、今季の他の3DCG(例えば、バンドリ2期、revisions、ウィズ、バーチャルさんは見ている)のなんとなくリアル方向とは異なり、従来のセルによるアニメを正常に昇華していて、アニメらしい表現を違和感なく残しながらもCGで作り上げているのは、お見事だと思います。他のアニメのCGは、なんとなくリアル方向の作画なので、現時点ではまだ発展途上。セル画のような上手にデフォルメ化したアクションがなく、通常の動きもちょいと不自然。これは多分、なんとなくリアル方向系CGで、今の所、完成系に近い、映画「ファイナルファンタジーVII アドベントチルドレン」映画「アップルシード」などの真っ向からCGによって人間を描ききろうとしている作画に対し、テレビアニメ「宝石の国」やケムリクサは、その独特のキャラ設定から、完全リアルな人を描く必要がないことを逆手にとって、独自の世界観にとてもよくマッチした3Gキャラを作り上げているからだと思います。
いるんです。20年前からずっと、CGでのキャラ描写を毛嫌いして人形劇と言っちゃう人たちが。でも、どんどんCGの技術は進歩していて、いずれセル画アニメは、フィルムカメラがデジタルカメラに置き換わったように、CGアニメに置き換わるでしょう。
・演技
なんか新人声優さんが棒読み、ってどっかで読んだ気がするんですが、マジですか?マジにそう思いますか?鷲見友美ジェナさんのことかなあ。いや、これはこういう演技指導だろうし、キャラにマッチした非常にうまい当て方だと自分は思いました。若干聞き取りづらいのは、声優さんのせいではないでしょう。小松未可子さん、清都ありささん、天沢かんなさん、三村ゆうなさん、関根明良さん、それぞれが個性的なキャラをちゃんと立たせた演技でした。そして野島健児さんの優しそうなおっとりとしたキャラ作りは良かったですね。
・音楽
こういうテクノっぽいボーカロイドな感じの曲、自分は結構好きなので、ひいき目かもしれませんが、OP/EDは曲もアニメーションもとてもよく、サントラも楽曲として聞きごたえがあって自分的にはツボでした。
可愛い作画、3Gにしてはあまりリアルに振りすぎず、テレビアニメとしては十分アニメらしい表現のアクション、キャラの特徴をよく生かした演技と台詞回し、情景にマッチした音楽、伝統的なアニソンとは異なる楽曲だけれど世界観を表現しているオープニング、エンディング、想像の余地を残して適度に解明する謎。自分には見当がつかないのですが、これだけの要素が揃っているのに、これの何が面白いのかわからない向きもあるみたいです。そういう方は、ジャンプ系少年漫画原作のアニメを選択すると幸せになれると思います。
リリに向かって
わかば「自信持ってね!こんなので、懲りちゃだめだよ!」
わかば「ダメだった時は、好きなことして楽しく生きて」
さいしょのひとの好きなこと。さいしょのひとはそれをするために、今すぐ大人になろうとケムリクサを操作し、好きなことを6枚に分け、大人に分身した。リンに分け与えられた好きなこと。それが全編を通して表現されていたこのアニメのテーマです、と自分は思っています^^
リンへ
リツ「今までこっちのことばっかりさせてごめんにゃ。最後はリンが好きに。」
リナ「好き放題する番だな。いままでありがと、な。」
リン「ねえさん、りな」
リツ「もしまだ迷ってたなら、リンの足が今、どっち向いているか見ればいいにゃ」
リナ「ちゃんとねーねがしたいこと、みるのな」
0 件のコメント:
コメントを投稿