2019年9月25日水曜日

荒ぶる季節の乙女どもよ。

荒ぶる季節の乙女どもよ。  総合:☆☆☆☆

なんども見るかなあ、と考えると、ちょっと甘めなんですが、この着想とそれを漫画・アニメとして発表できる力量、内容のオリジナリティに敬意を払って☆4です。
少なくとも「みだらな青ちゃんは勉強ができない」や、やたらテンプレート化されてきた学園ハーレムアニメとの差はつけないとw

完結している漫画が原作。漫画の原作者は岡田麿里さん。アニメの脚本も担当しています。原作は1巻既読。最後まで読みきっていないので、原作とアニメの違いまでは言及できないです。
2019年7月スタート。全12話。30分枠アニメ。

・ストーリー 
文芸部に所属する女子高生5人は、最近の文学における性描写に憤りを感じ、現実における軽薄な同級生たちに苛立っていた。しかし、彼女らは、性行為を嫌悪しているわけではなく、5人各々が持っている恋愛に対する本当の気持ちに気付こうとしていないだけだった。そんな彼女たちが様々な出来事を経て、それぞれの試みを通じ、自分たちの隠された気持ちを確認していく物語。

・演出
さすがの岡田麿里さんなので、展開が一筋縄ではいきません。
シャキッとしろよ、とか、うじうじ考えるな、とか、客観的に見ると青春の真っ只中にいる少年少女たちのもどかしさに、何か言いたくなりウズウズしてくるものなのですが、このアニメでは、逆に荒ぶる乙女たちに翻弄されていきます。性的なものをストレートに表現し、ポルノまがいと呼ばれることも多い最近のアニメに対し、心理描写に重点を置くことで、むしろ、性的なものを強く感じさせる仕掛けは、チラリズムではありませんが、ポルノまがいのアニメより、むしろ性的な興奮を高めています。
このような、どこへ行ってしまうのだろうと思わせる演出を通して、最終的には高校生らしいエンディングエピソードにまとめきったところは、流石です。

・作画
平面的な作画に終始しますが、キャラも安定していますし、動きも漫画のそれっぽいし、キャラの描き分けもうまく、好感が持てます。円盤買っても後悔はしないレベル。

・音楽
OP/EDはよかったんじゃ無いでしょうか。セリフが入る曲って個人的には苦手なのが難点でしたが。劇伴も劇伴らしくて良かったと。

・演技
キャラの描き分けのおかげもあるかと思うんですが、普通の感じで演じてくれているので、物語に集中できます。メインの河野ひよりさん、安済知佳さん、黒沢ともよさん、麻倉ももさん、上坂すみれさんはもとより、顧問役で見事な指導者っぷりを見せた福山潤さん、炭治郎で圧倒的な善性を演じている花江夏樹さんのここでのウザ男ぶり、脇役とは言え重大な出来事の伏線となる役で戸松遥さんの見た目と心根の違いの演じ分けがうまかったり、と脇役の演技がヒロインたちへの感情移入を支えていたのが印象的でした。

制作全体の力と、再三、思いはするのですが、やっぱり岡田麿里さんが絡むとどんな作品でも独特の展開・雰囲気が滲み出てくるなあ、と感じるのでした。



0 件のコメント: