漫画が原作の「響け!ユーフォニアム」1期2期の続編にあたる2018年公開の劇場用アニメ。ストーリーはアニメオリジナル。原作は未読です。
そこまでドラマティックな展開ではなく、雰囲気を楽しむアニメです。あればBDに焼くとは思いますので、その点からは☆が4つでもいいのですが、テレビアニメに比べれば短編だから、ちょこっと観るにはいいかなという、中身に関係ない不純な動機のため、少し辛めの3止まりとしました。
・ストーリー
おとぎ話「リズと青い鳥」。リズはカゴに飼っていた綺麗な青い鳥に、もっと広い世界を見せるべきなのではないかと悩んだ末に、外の世界へ逃がすことを決心しました。
「みぞれ」は「のぞみ」に誘われて中学入学時に吹奏楽を始めました。同じ高校に進んだ二人。「のぞみ」は「のぞみ」に憧れていた「みぞれ」をおいて退部してしまった過去があります。今は復部して「のぞみ」はフルートの「みぞれ」はオーボエのパートリーダーとして、高校最後のコンクールに、自由曲「リズと青い鳥」で臨もうとしています。この曲にはフルートとオーボエの掛け合いのパートがあり、そこでは、リズと青い鳥とのやりとりが表現されています。彼女たちは、自分たちの相手への感情を「リズと青い鳥」に重ねてみるのですが、どうしてもしっくりこない練習の日々が続きます。そして、彼女たちはお互いの気持ちを見つめ直していくのでした。
・演出
音楽系の漫画は、アニメになり音が加わることで読者の想像力を制限する反面、不足分を完全に補ってくれるので、すんなり劇中に入り込めます。音楽漫画とアニメは相性が良いと言えますが、原作を知り過ぎていると、自分で補っていた想像力との差が大きくなりがちなので、がっかりすることも多いでしょう。漫画で感動的な音楽シーンをいかに演出するかが勝敗の分かれ目。漫画では、視覚効果と言葉による解説で補完しているわけですが、その視覚効果を全面的に押し出す演出が多い中、このアニメでは、今一歩の時の演奏時間を控えめにし、完璧になった時の演奏を、そこに至るまで明らかにされていなかった全曲のメロディーを聞かせ、旋律により感動させることで、演出しました。とってもスマートですが、演奏を比較させるわけではないため、凄くなったことがわかりづらかったのは難点でしょう。
音楽アニメでありながら、このアニメの特徴は、おとぎ話とリアルとを重ねながら、二人の少女の関係性の深掘りを、京都アニメーションらしい詩的な作画表現や二人の会話の間を脚本で強調することで、ふんわりと見せ切ったことにこそ真価があると感じました。
テレビアニメの続編ですが、単発として十分に成立しているアニメですので、観てない方が見ることに不安を感じる必要はないと思います。もちろん「響け!ユーフォニアム」のファンの方には、サイドストーリーとして十分に楽しめる作品だと思います。もっとも、ひょっとすると、吹奏楽部あるあるが楽しかったファンの方にとっては、肩透かしをくう内容かもしれません。
・作画
さすがの一言。細い線が滑らからに動き、美しい横顔に釘付けになります。今時には珍しく、すこーーしだけ、背景と合わない場面がありましたけど、重箱の隅をつついても仕方のないレベル。圧巻ゆえに、ついついほころびに目がいっちゃうこともある、という感じです。
・音楽
基本的に良かったと思うのですが、オケでドラマティックに支えようとし過ぎているところもありました。天気が雨に変わるシーンで、そこまで嵐にしなくても、みたいな。まあ、これも、物語に浸る上で特に大きく支障になることはないので、スルーしましょう。
・演技
種崎敦美さんと東山奈央さんが、持ち味通りのキャラを演じているので破綻がありません。リズと少女の二役をこなした本田望結さんも演じ分けは見事でした。ただ、リズ役の方で、国語の朗読を聞いているような気分にさせられたのはちょっと残念でした。
アニメーションとしてのクオリティが高いので、些細なことが目立ってしまうアニメでした。つまり、物語に強烈に引き込ませる力があったとは、すみませんが、思えなかったです。
0 件のコメント:
コメントを投稿