かつて神だった獣たちへ 総合:☆☆
連載中の漫画が原作。原作は2巻まで既読です。
2019年7月スタート。全12話。
ファンタジー・ヴァイオレンスアニメです。
・ストーリー
パトリア大陸で北部と南部に分かれた内戦が勃発した。この戦いで、神の力を使えるようにと人を改造した擬神兵が生み出され、戦局は彼らの力に依存していた。結果として敵と戦い人を守ることにより大陸を和平に導いた擬神兵だったが、彼らは時間とともに人間としての理性を失い、ただの獣へと変化していく運命にあった。
シャールは父の孤児院を手伝っていたが、内戦の激化に伴い、父は戦場に出ることになった。和平後、父は孤児院に戻ってきたが、擬神兵となっていて、その姿は竜そのものだった。ただ、父はまだ理性を保っており、以前と変わらない優しさで孤児院を守っていた。しかし、そんな日々は長く続かなかった。徐々に獣の本性が見え隠れするようになった父。そんな父の前に元擬神兵部隊隊長のハンクが現れ、父を銃殺したのだった。
シャールは父殺しのハンクを追いかける。仇を討とうとするシャールだったが、偶然、ハンクと理性を失った元擬神兵との戦いに巻き込まれたことで、元の仲間を殺しているのにはなにか訳があるのかもしれないと感じた。そして、シャールはハンクが一体何をしているのかを知るために、共に旅をすることを選択するのだった。
シャールの行動原理がなんか奇妙ですよね。設定や展開の不自然さが、全編に悪影響を与えてしまっているアニメです。
・演出
原作も余りシリアスな展開が得意とは言えない漫画家の方のため、普通にアニメ化し演出しようとしても、ギャグっぽい展開とシリアスな部分とのバランスがどうしても悪くなってしまいます。ここは、シリアス一本に大胆に構成し直し、制作してくれた方が良かったのではないでしょうか。
これ、たぶん2期ありきの12話、ですよね。1期でまとめきるような意気込みがないです。ラストの演出ももうちょっと工夫を凝らしていただきたかったところです。
とにもかくにも、シナリオとそれに沿った演出が不自然です。力もないのにシャールが無鉄砲すぎます。擬神兵同士の戦いの展開があまりに唐突に二転三転します。原作を練りこんでから、制作して欲しかったと思います。
と言いつつも、まあ、テレビアニメはこのくらいが普通、とも言えます。最近相当すごいアニメを観てしまっているので、相対的に不満しか残りませんでしたが、妥協できなくもありません。原作のクオリティの差は、単純にアニメ化しただけでは埋まりません。
・作画
テレビアニメとして、余り良いとは言えないです。良いところと悪いところの格差が激しすぎて、ストーリーへの集中を阻害しています。
・音楽
OP・EDとも良く、劇伴も良かったです。音楽は頑張ってくれたので、本当は感動的になってもおかしくないお話なのですが、総合芸術として、音楽だけでは如何ともしがたい代表作のような印象です。
・演技
なにぶん脚本やストーリ展開に足を引っ張られて、折角の声優さん方の演技が台無しです。ドラマティックに、との頑張りが、空回りしているように感じました。
題名は良かったんですがね。
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