グランベルム 総合:☆☆☆☆
Nexus制作のオリジナルアニメ。
シリーズ構成に花田十輝さん。
2019年7月スタート。1話30分。全13話。
・ストーリー
「言ったはずです。あなたは私には勝てないと。」
かつて、世界は魔力であふれていた。
太古、魔力は人の生活を豊かにし魔術はそれを使う技として広く浸透していた。しかし、それはいつしか争いに使われるようになり、自然を破壊し、生命を脅かすものとなっていった。そこで、世界で最も強い魔力を持つ7人の賢者が、自らの命と引き換えに世界に溢れる全ての魔力を封印し消し去った。その封印がマギアコナトス。世界中にあふれていたすべての魔力が納められている。
満月の夜になると、マギアコナトスによって作られた幻想世界に魔術師が集い、戦いを繰り広げていた。魔法人形・アルマノクスを操り、他の魔術師を排除する。そして、世界で唯一の魔術師・プリンセプスの魔術師となるために、最後の一人になるまでの戦い・グランベルムを続けていた。とても長い年月を。
ある晩、そんな彼女たちの戦いの中に、健気だけど影が薄く中身が空っぽであることに悩んでいた小日向満月が巻き込まれた。小日向満月は、その封印された世界に迷い込んだことにより、自分もこの戦いに参加する資格があることを、同じ戦いの場にいた新月エルネスタ深海より教えられた。そして自分が何者かになるため、グランベルムの戦いに身を投じることを決意する。
これはグランベルムに集う7人の少女たちの願いをめぐる物語。
攻殻機動隊のゴーストに似たようなテーマを内包していたので、自分としては興味深く見ることができました。
・演出
ぶつ切りになりそうな設定を、7人の願いを並行に語りながら、徐々に収束していく演出は、自然でよかったです。
細かいところでは、小日向満月という少女の理由を見せてくれる第2話の魔法の演出。
カーテンにはっと気合を入れ、間髪入れてではなく一歩遅れて風が起きる。
魔法を説明するために花瓶に魔力をかける新月。
術によって花が咲いた様子を見た満月。
「すごい」
新月
「そう思いますか?
術によってこの花は美しい花を咲かせた。
しかし同時に、本来咲くべき時に花をつけることができなくなってしまった。
運命を狂わされたのです。」
魔法について、ここまで哲学的に突っ込んだ少女アニメは珍しいですし、自分にはとても好ましく思えました。
そしてその後、満月を取り囲む花壇・樹木が花開く様子。とても感動的でした。
最終的に満月には衝撃の真実が待っていて、他の確固たる願いを持つ魔術師たちとは違う揺らぎの物語になるのですが、他の少女の願いが満月の物語を際立たせているように散りばめられているシリーズ構成が見事なアニメでした。
・作画
可愛い絵柄です。魔法人形、ほぼほぼロボット型なんですが、これも可愛い感じ。内容の重厚感をオブラートに包む効果は、このアニメの場合は良かったと思います。それは、ヒロインである小日向満月のパーソナリティにこの絵柄があっていて、満月の物語を盛り上げてくれていたからです。
アクションも破綻なく、キャラも安定していて、この絵柄が気にいるのであれば、円盤買っても後悔しないと思います。
・音楽
EDは特にお気に入りです。
末廣健一郎さんの劇伴は良いですね。静かに背景に回りながらもしっかりとシーンを盛り上げてくれています。それでいて、楽曲単体でも聞き応えがあります。
・演技
いつもながらのコメントですが、皆さん良かったのですが、特に惹きつけられたのは、
島袋美由利さん、大活躍ですね。はねバド、キャロチュー 、グランベルムと安心して物語に入り込める演技です。そして相方の種崎敦美さんは相変わらず良かったですし、ライバルとなる日笠陽子さん、悠木碧さんのキャラの持ち味を生かした演技力は本当に素晴らしいです。
ファンタジーホラーです。珍しい少女ロボットモノ。設定が独特でお話も重厚感があり、大人でも楽しめます。逆に子供はちょっとがっかりするかもしれません。
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