ガールズ&パンツァー 劇場版 総合:☆☆☆☆
テレビ版ガールズ&パンツァーの続編。オリジナルアニメ。
☆は辛めです。とはいえ、テレビ版の方が自分としては楽しめました。
また、続編であり、テレビ版を観ていることが前提のアニメです。
※ゆえに、以下、テレビ版含めネタバレが若干あります。
その点でも、テレビ版は☆5に、いつか変えてしまうかもしれませんが、劇場版がランクアップすることはないでしょう。
2015年公開。
・ストーリー
戦車戦がスポーツ化され戦車道として発展した未来のお話。県立大洗女子学園は戦車道の全国大会で優勝すれば廃校を免れるはずだった。そのために必死に手に入れた優勝旗だったが、お役人は、そんな口約束は簡単に反故にしてしまう。学園艦を追い出された彼女たちは失意の只中にいたが、生徒会長は政治的駆け引きを使い、廃校を免れる条件を責任者たちの捺印付きの書面にして手に入れた。その条件とは大学選抜チームと対戦し、勝利することだった。高校生が大学選抜に挑むこと自体から無謀だったが、役人の嫌がらせも加わり、さらに不利な条件となった中、高校全国大会で戦い、その時、西住みほの人柄に当てられたライバルたちが、大洗女子学園のピンチを救おうと颯爽と加勢に入り、運命の決戦の戦端が開かれるのだった。
・演出
スタッフも変わらないので、基本、テレビ版と同じよさを引き継いでいます。あえてテレビ版に付け加えるとするならば、闘志を秘めながらも表に全く出さない、冷静沈着慇懃なヒロインを筆頭に、チームカラーやキャラが立っているので、多数の人物を登場させながらも、色分けがはっきりできています。また、最初にエキシビジョンマッチを挿入することで、新しいメンツの特徴を把握させつつ、旧来のメンバーの特徴も思い出すことができる演出は上手いと思いました。展開が王道なので劇場版でガルパン初見の人でも、ストーリーで置いていかれることはないと思います。劇場版という尺の短さ(とはいえ二時間半と割と長め)によるデメリットを上手く解消しています。
そもそも単純明快なストーリーと、爽快痛快な戦車バトルに引き込まれずにはいられないでしょう。追加して、劇場版の方がテレビ版より、戦車戦、というより、戦車道、をより感じさせてくれる演出が多いのも良い点です。まあ、車中で紅茶飲みすぎなんだけどw そんな戦争由来のスポーツとはいえ殺伐とさせない、すでに道として確立した競技であることを、上品さ清廉さを使ってさりげなく演出しているところが自分としては好感度高いです。ダークな展開も大好きですが、こういう突拍子もないスポーツで学園青春物語を見せてくれる新鮮さに加え、普通の熱血スポ根もののような胸が熱くなるような展開の上乗せも自分は好きです。
テレビ版に加え、新しい風として登場させた西隊長というか知波単学園のメンバーの旧日本帝国陸軍を茶化してるとしか思えない突撃精神、それに、大学選抜の西住流に対抗する島田流家元の娘・天才少女のクールな存在感もよかったですね。尺が長ければ、もっとその天才ぶりを発揮できただろうに。ちょっと残念です。クライマックスにおける西住姉妹vs島田流天才少女の決闘もテレビ版の西住姉妹の決闘に勝るとも劣らない迫力でした。天才と絆の対決。テレビ版でもエンディングでそれとなく表現されていましたが表しきれてはいなかった西住姉妹の本来あった本当の仲の良さが示唆されていた点も良かったです。
といはいえ、どうしても欠点はあります。この人数です。テレビ版を知っているから、入りやすいのは確かです。劇場版から観る人には、詳細まで把握するのは厳しいでしょう。
さらに、これだけ戦車の数が多いと、流石に乱戦の中、戦況がわかりづらいのは辛いところです。戦況自体に重きを置いていないのはわかりますが、優勢、劣勢がもう少しわかりやすくなっているとよかったのにと思います。音楽が助けていましたが、限界があります。やられている割に、なぜか数的には互角だなあ、とかちょっと不思議感が漂っていました。
・作画
ケチがつけれるとしたらどこでしょうかね。ちょっと思い当たりません。引いた時の人の動きも非常にリアルで、3Dの最も効果的な使用法だったように思います。
正直に言うと、クライマックスの決闘シーンはテレビ版の方がすごかった、と思います。もちろん劇場版も負けてはいないのですが、でもあの、テレビ版での砲身のやり取りは忘れられません。
・演技
この人数ですからね。一人何役もて感じですが、違和感はありませんし、変なところもありません。皆さん、さすがです。
あえて一人だけ。テレビ版の感想の時に、はっきりは言いませんでしたが、ヒロイン役の渕上舞さん、最近の自分にとっては「刀使ノ巫女」の皐月夜見なんですよね。だから、西住みほは意外であると同時に、とても良い語り口だなあと思っています。思い起こせば皐月夜見の語り口もとても良いですよね。はっきりしていて、暗くて。西住みほは、はっきりしているんだけど気合が入る場面でもおっとりしていてい常に丁寧な口調、渕上舞さんの語り口は、いつもとても気になると同時に魅力的です。
・音楽
いいです。
音響にもこだわっていて、戦車戦らしい迫力が増しました。
最後に、作品を底上げした、上品で、戦車道らしい、自分の中でのお気に入りのセリフを
「どこでも華は咲けるわ。心が萎れない限り。」by 五十鈴華(cv 尾崎真実さん)
「普通は無理でも戦車に通れない道はありません。戦車は火砕流の中だって進むんです。(ビックリマークがつかない台詞回しがいいです)」by 西住みほ(cv 渕上舞さん)
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