ラノベが原作。原作は化物語のみ既読。
化物語シリーズについては、憑物語の評価というより、化物語シリーズ全体における憑物語の相対的な感想を述べているに近いことをご了承ください。
どうしてもこれ単作のみで感想を書くことはもはや困難です^^;
よつぎドール 全4話。2014年12月に一挙放映。
・ストーリー
恋物語にて語られた千石撫子の怪異解決後の物語。最早のっぴきならない状態になった阿良々木暦に、死体でありながらも友達として関わっていく斧乃木余接を中心に話は展開していく。
こののち、臥煙伊豆湖が、阿良々木暦にとった行動の伏線・理由はここにある。
「なんか、かるいチカイだなぁあ」
なんでも知っている臥煙伊豆湖の次になんでも知っているのは斧乃木余接かもしれない。
・演出
まあ、少し寄り道が多いな、という気はするんですが、そんな小休止的な間の取り方も、メインストリームの非日常な登場人物と、切なさと格好良さの絶妙なバランスに、幕間に幕の内弁当を食べているような満足感として目を瞑ることができるでしょう。
化物語シリーズのどちらかというとサブキャラ(化物語の怪異そのものとなった対象のヒロインたち以外)は、後年になるに従いより加速度的に個性的かつカッコ良くなっていきます。化物語でも相当でしたが、鬼物語で圧倒的な存在感を発揮した斧乃木余接が、ヒロインとしてさらに確固たるキャラ立ちをしました。同時に、影縫余弦の存在感もこの憑物語で最高潮に達しました。
さて、ヒロインの斧乃木余接。これだけ無表情な役柄でスーパースターになり得るのは、その個性的なキャラ、その洒脱な台詞、その可愛いキャラデザイン、その動作を引き立てる劇伴音楽、そして、そのキャラを自然に演じきる早見沙織さん、これらの相乗効果のなせる技、でしょうね。
さらに、地面を歩けない呪いを受けている影縫余弦の暴力に訴えずとも対象にかける強力な圧の演出。ちなみに、この人のこの謎めいた設定だけでもアニメ4話分くらいの短編が書けるよね。そんな曰く付きの影縫と忍野忍によって繰り広げられる、よつぎドール3話での舌戦シーンの緊張感。画像、台詞回しがクールで、バトルアクションが無いのにも関わらずクライマックスより、ある意味見せ場だったと言っていいでしょう。影縫だけは、忍野忍を【旧】キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードと【旧】をつけて必ず呼ぶことで、本来なら退治すべき相手だが、無害認定した手前、見逃してやっているんだぞ、と暗に強調しているなど、細かいところまで演出に抜かりはありません。
そこに「それは少し先の話だろう。おねえちゃん。しのぶねえさん。今、熱くなってどうするのさ」と伝説の怪異の王と不死身の怪異退治専門の暴力陰陽師に割って入る斧乃木余接。さすが今作のヒロイン。この二人と対等に渡り合えるだけの実力を持っていることを言葉だけで見せつけてくれます。
あとは余談ですが、化物語全体通しての演出として、メインの会話の後ろで可愛く遊ぶ、少女・幼女・童女とかの演出もいいですね。テレビドラマ「古畑任三郎」で、一警官役にすぎなかった西村雅彦が、(主役によってはこういう目立つエキストラを嫌がる人もいるみたいですが)田村正和の演技の後ろで、あれやこれやと変な動きをしているのが目に留まり、だんだんメインキャラになり、その後、一気にスターダムにのし上がったのは有名ですけど、まあ、そんな感じで、様々な演出を取り交ぜ、視聴者を退屈させません。
安定感があります。基本的にシリーズ通常運転なんですが、今回は特に、影縫に対して広角レンズ効果を巧みに利用していて、異様さを際立たせています。作画が円盤購入の助けになることはあっても、妨げになることはないでしょう。
・音楽
憑物語でのサントラは、いつにも増して効果的でした。オープニングもいいです。
・演技
まー、早見沙織さんですよね。斧乃木余接は、数多い有名な持ち役の中でもベストのうちの一つ、だと思います。神谷浩史さんも、いつもどおり、さほど声音を変えずに、演技力だけで、すっかり高校生だし、坂本真綾さんは対象的に、七色の声で幼女そのもの。影縫役の白石涼子さんは、副音声では、なんか気合いの入っていないような独特の個性を発揮されるのですが、本編ではさすがの迫力です。
さて、以下、ネタバレです。
「ボクはキメ顔でそう言った。」
リクエストに答えた斧乃木余接は決着の後、
「ボクが化け物だからだよ。こうならないでね、おにいちゃん。人間はこうなってしまえば、、おしまいだ」
鬼物語での八九寺真宵と同様、この物語も何か悲しい物語ですね。すでに生を持たない二人の物語だからかもしれません。
「まだあなたは、陽の当たる場所を歩けるみたい」
そして、後日談、というか、今回のオチ。「で、一生、鏡に映らないとどう困るの?」と全く問題視しないガハラさんの度量というか特別な感性の披露で終わりですw
0 件のコメント:
コメントを投稿