2019年7月9日火曜日

どろろ

どろろ 総合:☆☆☆☆

50年前の手塚治虫マンガ原作。原作は未読です。
ほぼ50年ぶりのリメイク
2019年1月スタート。全24話
☆3と4で悩みましたが、やはり、あれだけ多作でありながら、高いクオリティを保っていた手塚治虫さんのオリジナリティあふれるストーリーに敬意を払って。

・ストーリー
国を守るために鬼神の力を借りることを決意したある地方の国主。鬼神の要求に従い息子を生贄として差し出す。しかし、差し出された息子はすんでのところで全てを奪われる前に川に流され、一人の義体技師により辛うじて生活ができるようになっていった。そして息子は自分の体を取り戻すために、鬼神を倒す旅に出る。途中で出会った、みなしごの盗賊の子供の助けを借りながら。

・演出
時代劇はアニメですねえ^^;電信柱とか、気にしなくていいしw
暗いストーリーを墨絵のような画風と、手塚治虫ならではのキャラの書き分けのうまさで表現しています。微妙な間や声優さんの演技も一風変わっています。これら独特な演出で、他に類をみないストーリーテラー手塚治虫の中でも、特別に陰鬱で特殊だと評されているこの作品のイメージをできるだけ損なわない演出がなされています。できるだけと言っているのは、展開を原作と少し変えてますので、原作のどうしようもないまでの暗さを少しだけ軽くしている方向に振っています。また、現代ではセンシティブになっている問題についてはあまり触れないで済むように変更されてもいます。この辺の変更によって、原作好きと、この作品でどろろに触れた人との間で、このアニメへの好感度が変わってくるかもしれませんね。

・作画
良いです。手塚プロらしい、上手な手抜きにより最後まで安定して乗り切っています。

・演技
独特の演出。どろろの演技は素人っぽさを感じるのですが、

・音楽
OP/ED曲はちょっと気張りすぎかなあ。サントラは和風で視聴者に時代を感じさせる後押しをしてくれていました。


手塚治虫作品は何かのアンチテーゼをテーマに据えています。ここでは、戦争とそこに巻き込まれる民衆の悲哀を、国を治めるためには息子を生贄にしてまで目的を達成しようとする施政者と個人の尊厳を取り戻すための抵抗を、体のほぼ全てを失うという過酷な境遇の主人公を投入することで表現しています。トップダウンとボトムアップ。国はどちらの方向からその行く末にアプローチしていくべきか、民主主義を標榜する国にいるのならば、答えは明らかなはずです。

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