2019年12月6日金曜日

東京マグニチュード8.0

東京マグニチュード8.0  総合:☆☆☆☆

「こんな世界、壊れちゃえばいいのに」


ノイタミナ枠のオリジナルアニメ。プリンセス・プリンシパルなどの橘正紀監督。
2009年7月スタート 全11話。30分枠。
2009年文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞。同年大賞のサマーウォーズよりずっと、文化庁が大賞を贈るのにふさわしいアニメだったと思うんだけどな。

・ストーリー
世の中、嫌なことばかりと厭世的になっていた中学一年生の小野沢未来。いつもお母さんと喧嘩ばかり。家族がギスギスしていることに心を痛めていた弟の悠貴は、みんなで仲良くお出かけした、思い出のお台場に行こうと提案するが、お母さんもお父さんも忙しく、未来と二人だけでいくことになる。目当てのロボット展の後、お母さんの誕生日プレゼントを買いに訪れたショッピングモールでも小さな癇癪を起こす未来。悠貴がトイレに行ったほんの少しの間に、マグニチュード8.0の東京直下型地震が発生し、二人は被災した。親切な大人の日下部真理にも助けられながら、二人はお台場から世田谷成城にある自宅を目指す。
家族思いの悠貴が、困難を乗り越え、最後まで未来を支える。それに応えて人間的に成長していく未来の物語。

・演出
都市で暮らしていく上での迷惑な人や、災害時の人の醜さを見せるところからスタートします。多くの人は、これを観て、「なんて奴らだ。自分はこうはなりたくない。」と思うのではないでしょうか。実際に実行に移せるかどうかはともかく、そう思ったうちの何割かの人だけでも、自分の振る舞いに思い至らせ、改めることができれば、世の中はもう少し暮らしやすくなるかもしれません。災害時にもっと多くの人が助かるかもしれません。そのような効果を期待させてくれる演出が、自分はとてもすごいなと思いました。そして徐々に、人の優しさに触れていくことで、防災意識だけでなく、人のあり方を考えさせてくれるこのアニメにこそ、文化庁は、もう一押しの評価をしてあげても良かったように感じます。

・作画
柔らかい絵柄でキャラも破綻せず、大災害の描写もきちんとしていて、テレビアニメとして良かったと思います。

・音楽
シーンを盛り上げるのに効果的でした。

・演技
未来役には秒速5センチメートルのライバルヒロインなど、アニメの出演作は少ないものの、舞台女優としても力のある花村怜美さん。

悠貴役には子役がやってるとしか思えない小林由美子さん。

そして、頼れる大人の真理役には、アン・ハサウェイをはじめ、自分にとって何気にファンのレイチェル・ワイズなど、実写映画の吹き替えで有名な甲斐田裕子さん。

さすがです。実際はわかりませんが、監督の橘正紀さんって、キャスティングが非常にうまいんじゃないでしょうか。

絵柄的に、若干防災アニメっぽく感じるのですが、しっかりしたストーリーに演技、演出、作画と揃っていて、興味深くみることができる作品です。

「家族に会いたい、と初めて思った」

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