2019年5月4日土曜日

TARI TARI

TARI TARI 総合:☆☆☆☆☆

P.A.WORKS制作オリジナルアニメ。
2012年7月スタート。全13話。
なんでTARI TARIなのかな、と思ってたんですが、各話の題名を見て気づきました。

・ストーリー
音楽科と普通科の二つが併設されている白浜坂高校。
3年生になってから音楽科から普通科に転科した坂井和奏。もう音楽はやらないと決意していたが、産休に入る担任の高橋先生は、そんな彼女を気にかけていた。
普通科の生徒ながら音楽科の生徒がほとんどの声楽部に籍を置き、前年度の合同音楽発表会に出場するも、緊張のあまり大失敗をやらかしてしまった宮本来夏。失敗にめげず、その後も人前で緊張しないためにと、駅前の路上ライブでひたむきな努力を積み重ね、3年生最後の発表会参加を目指していた。しかし、声楽部の顧問でもある教頭に、コンクールはプロを目指すような生徒の場なので、そこには出せないと明言されてしまった。夢を諦めきれない彼女は、ステージで歌えないのならと退部し、新たに合唱部を立ち上げて発表会に挑むことを決意した。
来夏と仲の良い弓道部の沖田紗羽は、幼い頃から家で飼っている馬のサブレを乗りこなしていくうちに競馬の騎手になる夢を持っていた。
遅刻常習犯の田中太智はバドミントンで全国大会に出場する実力者だったが、3年生になった時、バドミントン部の部員は彼しかおらず、全国を目指す地方予選の大会前に廃部の窮地に立たされていた。
オーストリアから12年ぶりに帰国し、和奏、来夏、紗羽、太智と同級生になったウィーン(前田敦博)。彼はオーストリアで別れた7歳の病弱な少年と、同じ日本のヒーローへの憧れを共有する友達同士だった。
同じ日に起きた、高橋先生の産休入り、ウィーンの転入、来夏の声楽部退部をターニングポイントとして、5人それぞれの糸の絡み合いが描かれます。

・演出
P.A.WORKSのアニメは、どの作品も最初から最後までしっかり考えて作られてるなあ、と思います。5人それぞれの物語を深掘りする流れが起承転結の「起承」部分になっていて、そののちを「転結」として物語を帰納させてゆく王道の展開ですが、和奏の謎解きが全編の骨子として存在しているので、冗長さを感じさせません。
1話のAパートから惹きつけられてしまう導入部の演出はすごいなあ、と思います。普通なら2話でクライマックスを迎えてしまったような見せ方なのですが、その後も続々と目の離せないエピソードが続くので、最後まで一気に観てしまいます。これは3話では切れない、と思いますよ^^

・作画
P.A.WORKSクオリティ。もちろん劇場用に作られた映画のそれには及びませんが、このクオリティでテレビアニメを作りきれる制作の力はすごいです。

・音楽
音楽アニメですからここ重要ですよね。サントラも挿入歌もOP/EDも、このアニメをしっかり支えていました。

・演技
瀬戸麻沙美さんをヒロインのように感じてしまいますし間違いではないのですが、実は高垣彩陽さんがバンドでいうベースのような役割でしっかり全体のテンポを仕切っていて、早見沙織さん、島崎信長さん、花江夏樹さんを含めた5人全体をまとめているような印象です。5人とも演技部分も自然だし、歌もとても上手です。2話の二重唱から合唱まで、とても綺麗な歌声です。歌唱が普通の時の声質とちょっと違うように感じるのですが、合唱ですからね。違って当たり前、とも言えます。
周りの生徒や校長、理事長も万全でした。敵役はしっかり憤りを感じさせる演技でした。中でも教頭役の田中敦子さんは、「あ、眼鏡をかけた少佐だ」と最初はついつい意識してしまうのですが、全体を通した流れの中で起きる心情変化、視聴者に与える印象変化を見事に演じられていて、ため息だけでもすごい存在感です。俳優さんが声優やるのを全否定するわけではないですし、プロモーションも含めるといろいろな考え方があるのはわかりますが、やっぱり餅は餅屋でしょう。広告塔に立つにはプロモーションを考えると時の人を当てるのは、声の仕事同様他の世界でも、例えばモデルの世界でもあると思うのですが、水原希子さんがモデルをする時は、ミリ単位で眉毛の表情を変えてポージングするって言ってましたから、やっぱり声の仕事は声優さんがやる方が、演技という面からは安心できます。

ポニーキャニオンがブルーレイをコンパクト・コレクションと銘打って、1話500円から700円程度に抑えて発売してくれてますね。海外版に比べるとまだまだ倍以上ですし、特典もないことを考えると、必ずしも諸手を挙げてオススメはしづらいのですが、悪くない流れじゃないかなと好意的に受け止めています。

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