虚淵玄さん原作ライトノベルのアニメ化。制作はufotable。
2011年10月スタート 1期。
2012年4月スタート 2期。
1話のみ1時間枠で、残りは30分枠。1期2期合わせて全25話。
サイコパス1期の脚本家・虚淵玄さんが、サイコパスの前作である「まどマギ」の脚本を書くきっかけとなった作品であり、また、「鬼滅の刃」のufotableが制作したアニメということで、試しにと思い視聴してみました。
結論から言うと、普通、でした。
自分は奈須きのこさんの原作ゲームである「Fate/stay night」が大好きですので、派生を敬遠する傾向にあるとはいえ、それを差し引いて好意的に考えてみても、絶賛するほどではないなと言う感想です。
派生の方が原作より面白いと揶揄される向きもあるようですが、「Fate/stay night」という秀逸な世界観、設定があるからこそ、これだけ有象無象の派生が生まれるわけで、「Fate/stay night」が否定までされることはないでしょう。まずは、「Fate/stay night」を観ることをお勧めします。
ちなみに、時系列的には「Fate/Zero」の後、「Fate/stay night」までの間に「ロードエルメロイII世の事件簿」があるわけですが、ウェイバーが、こんなにも屈折した大人になるとは思えないのですがね。奈須きのこさん曰く、「Fate/Zero」は完全には「Fate/stay night」に繋がっておらず、ロードエルメロイII世の方が「Fate/stay night」にちゃんと繋がっている、そうですので、こう言うところの不思議があってもおかしくないのかもしれません。
・ストーリー
聖杯と呼ばれる願望機、第三魔法を実現するために、冬木市にて協力しあっていた間桐、遠坂、アインツベルンの3大魔術家系が、その実現なるや、聖杯をただ我がものにせんと、一転、抗争を繰り広げ始めたことを発端とする聖杯戦争。7人の魔術師(マスター)とマスターが使役する英霊(サーバント)による戦闘ののち、勝ち残ったひと組だけが、聖杯を手に入れる権利を得るが、これまで、実際に聖杯の具現化に成功したものはいなかった。
聖杯戦争は聖杯により選ばれた魔術師が参加でき、7人集まった段階でスタートする。選ばれた魔術師には令呪と呼ばれる刻印が体に現れる。魔術師の中に令呪が現れ始めたことから第四次聖杯戦争が近づいてきているのがわかり、準備を進めながら続々と冬木市に集まり始める。マスターは聖遺物を拠り所にサーバントを召喚し、ついに戦闘が始まるのだが、この中に、アインツベルンに雇われた魔術師殺しの異名をとる魔術師・衛宮切嗣がいた。彼は、誰かを守るためには誰かを犠牲にしなければならない世界に葛藤と憤りを感じており、その連鎖を断ち切るため、世界の平和を実現するために、聖杯を目指す。
実際には、7組のマスターとサーバントの物語が錯綜する形になっていて、設定が散漫になってしまっています。ゲームなら、誰それルート、みたいに分岐により並列して物語ることが自然にできるのですが、小説やアニメではそうはいかない見本のようなアニメです。さらに、今作ではサーバント対サーバントの因縁も絡ませているので、さらにまとまりがありません。虚淵玄さんらしい正義対正義の激突の面白さを垣間見ることはできるのですが、ライダーの個性が際立っているため、彼中心のバトル上に点在している感じなのです。これなら題名を「征服王イスカンダル」として、別の物語にしてもいいくらいです。本来のテーマであろう、衛宮切嗣の正義と矛盾が霞んでしまっています。言いたいことがありすぎて、少し欲張ってしまったんじゃないかと感じてしまいました。
・演出
7組の正義、7組の主従の関係、それに7組の対立がそれぞれ別のテーマとして存在しているのを明確に提示できていないと思えたのが残念です。また、戦闘シーンも、本来は魔術とは関係ない一般市民には秘匿される形で行われなければならない戦闘が、公然と行われてしまうため、聖杯戦争の前提を覆してしまっています。
ただ、複数のテーマをパラレルに観せることには成功しており、並行して流れるテーマが同じ方向性で収束させられる場合、とても巧妙なテクニックで、すごいな、と思いました。全ての伏線がこのように収束してくれるなら良かったのですが、そもそものシナリオがそれを許さなかったようです。思い切って、絞り込む工夫をしても良かったのではないかと思います。
Fate/stay nightの劇場版はセイバールート、凛ルート、桜ルートと別々に制作されているようですので、このような形式にした方が良かったんじゃないでしょうか。
・作画
時たま雑になりますが、テレビアニメとしては良い方ではないかと。バトルシーンは、多数のキャラが滑らかには動きますが、バトルとしてそれほど迫力があるようには見えませんでした。
・音楽
こちらの方が先ですが^^;「まどマギ」を聴いているようです。梶浦節だけなら良いのですが、結構メロディーラインが他のアニメと似通っている場合があり、それがクライマックスに多いので、物語への集中力がそがれてしまいます。
・演技
キャラの性格に合った当て方ではあるのですが、やっぱりウェイバーがなあ^^;ロードエルメロイII世になってからよりはマシだけど。
それ以外のキャラについて、特に男性陣の大部分は演出過多な喋り方なのですが、この世界観には非常にしっくりきます。とても良かったです。ロードエルメロイII世も、この他の声優さんたちの成功に乗っかろうとしていたのですかね。
イスカンダルの覇道vsアーサー王の王道の舌戦が一番見応えがありました。虚淵玄さんらしさが、最もよく出ていたように思います。覇道が王道に勝るような論戦は、司馬史観「項羽と劉邦」や「三国志演義」の曹操vs劉備の価値観を覆す視点で面白いです。さすが、ヒールこそ正義の虚淵玄さんです。


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