可憐で凛々しく誇り高いセイバーに憧れたものです。
奈須きのこさん原作18禁ゲームのアニメ化。
2006年1月スタート 全24話。
・ストーリー
冬木市に現れる聖杯をめぐる争奪戦。10年ぶりに現れた聖杯を求め、魔術師の名家当主であり高校生の遠坂凛は、使い魔となるクラス・アーチャーのサーバントを召喚する。校内に張り巡らされた結界を調べている最中、クラス・ランサーのサーバントと遭遇、戦闘となる。一般人には秘匿されなければならない聖杯戦争のため、無人になってからの活動だったが、折悪く、一人の男子高校生に目撃されてしまう。ランサーは口封じのために彼を殺害するが、遠坂凛は、彼・衛宮士郎の命を魔法により繫ぎ止める。しかし、ランサーの衛宮士郎への追撃は止まらない。衛宮士郎の自宅を急襲したランサーだったが、図らずもその屋敷は前回の聖杯戦争を戦ったマスターの一人・衛宮士郎の義理の父・衛宮切嗣の拠点だった。ランサーと衛宮士郎の戦闘中・衛宮切嗣の仕掛けが発動し、衛宮士郎はクラス・セイバーのサーバントを召喚、ランサーを撃退する。衛宮士郎は第四次聖杯戦争の悲劇を繰り返さないために、そして、正義の味方になるために、聖杯戦争へ参加し、セイバーは彼の使い魔として、己が人生をやり直すために聖杯を目指す。セイバーは魔術師としての意識が低い衛宮士郎に苛立ちを隠せないが、共に戦いを重ねていくことにより、自身のあるべき姿を問い直していくことになる。
原作ゲームのセイバールートをほぼなぞっていますが、原作のままではありません。ただ、エンディングは、セイバールートそのものです。成功したからって、お金を追いかけ、やたら続編を作ったり、派生を作ったりしないで欲しかったです。なぜなら、セイバールートのエンディングの儚さ、作品そのものを大切にして欲しかったからです。そういう意味では前日譚になる第四次聖杯戦争を描き、Fate/stay nightをより深みのあるものにしようとしたFate/Zero 虚淵玄さんは、さすが、目の付け所が違うな、と思わずにはいられないのです。
・演出
原作ファンにはキツいアニメであり、演出でした。もっとも、原作知らない人たちが、このアニメのこの衛宮士郎という人物に、どれだけ共感できたのかも、いささか疑問です。
客観的にみると衛宮士郎の感情がウザく感じます。邪魔なんです、自分のもにしたいという欲望は。正義の味方になりたいのか、誰も犠牲にしたくないのか、一人の女をものにしたいのか、欲望が多すぎなんです。それも大それた。大それた理想を語るくせに世俗的なんです。
セイバールートを感動的なものにするためには、セイバーに恋をしなければなりません。なので、衛宮士郎にそういう感情を持たせなければならないのは確かです。だけど、恋に落ちる演出が不器用なんです。え?いつ?そうなったの?それもそんな風に?て感じなんです。最初の出会いの頃からなのは原作好きならわかっています。そこをきちんと見せつけ、見せ続けなければならなかったと思うのです。ゲームでは、様々なイベントを通して、自分自身がセイバーに感情移入していきます。しかし、アニメでは、衛宮士郎の自分とは異なる価値観による行動に乗っ取られてしまいます。邪魔なんです。衛宮士郎という存在が。
一昔前までは、ドラクエファンか、FFファンかを語るとき、ドラクエファンは、必ず、主人公にセリフがないことを長所の一つに挙げます。これは、ゲーム原作をアニメ化する時に最も気をつけなければいけないポイントだと思います。
プレイヤーが主人公であるゲームの特性をアニメで覆すためには、一本の物語として、筋の通ったシナリオが必要です。原作はバッドエンドがとても多いことで有名で、ゆえに分岐の数が多いのは確かですが、それでも、テーマがあり、そのテーマをうまく絞ってもらってアニメ化してくれれば、もう少し物語にのめりこめたんじゃないかと、元がいいだけに、残念に思うのです。
・作画
アクションはいいです。キャラもそこそこ安定しています。当時のテレビアニメとしては良い方ではないでしょうか。
・音楽
川井憲次さんです。綺麗なコーラス曲や、クラシックの名曲を挟んだり、サーバントの出自に合わせた特徴的な調の曲を揃えたりと、さすがだなあ、と思います。音楽が主張するときもあるのですが、あくまで劇伴としてシーンを支えている範囲で劇的です。
・演技
あれあれ、て感じです。大人役の声優さんたちはすごく良かったです。
ゲーム原作のアニメ化は、やっぱりなかなかに、難しいもの、ですね。

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