2020年2月14日金曜日

うさぎドロップ

うさぎドロップ  総合:☆☆☆☆

完結している漫画原作。原作は未読です。
2011年7月スタート 全11話。30分枠。



・ストーリー
祖父の葬式のために里帰りした30歳独身営業職の大吉。祖父の家で見慣れない喪服を着た女の子・りんに出会った。6歳になるりんは祖父の娘(大吉の叔母にあたる)だそうで、母親は家を出ていなくなっていた。
葬式後、りんをどうするのかで親戚一同はもめるが、孤児になったりんを思う人はおらず、そのことに苛立ちを隠せなかった大吉は、半ば勢いで、自分が引き取ることを宣言する。
奇妙な家族となった二人を通して様々な家族を振り返って見ることで、家族とは何かをさりげなく語る物語。

本当に祖父の子なのか、という大問題についてはさほど触れません。このアニメにはこれが良かったと思います。そこをほじくりかえす必要がないのは、大吉とりんの家族関係そのものの不自然さを強調してしまうことになると思うからです。

・演出
りんも大吉も善人なので、設定の深刻さを感じさせません。いろいろな家族構成を見せながら、普通の家族に起きる出来事を通して、さらっと流れていく時間構成が巧みです。奇妙な親子関係でみせる家族ゆえに、日常的にこなしていたイベントも、新鮮に受け取ることができ、翻って、観る人に家族の絆の大切さを気づかせてくれます。

・作画
映画ほど描きこまれているわけではないのですが、所作のアニメーションがとても綺麗ですし、顔もデフォルメを使いながら、自然な表情を崩さないでくれるので、大変好感を持てます。テレビアニメとして、十分以上です。制作はProduction I.G.。エンディングアニメーションに劇団イヌカレーですが、独特ではあるものの、暖かい絵柄でいい感じです。

・音楽
サントラとしてシーンを支えていました。

・演技
主演の大吉には土田大さん。俳優ではあるものの、声優としての実績の方が多く、特に海外実写の吹き替えが得意の方で、安心して聞けました。いわゆるテレビアニメのCVさんにありがちなやりすぎ感がなく、日常を描くこのアニメには最適なキャスティングだったと思います。
りん役の松浦愛弓さんは当時10歳。今は学業に専念されている感じですが、子役らしく自然な子供の声で、子役にありがちな不自然さもあまりなく、良かったです。土田大さんと劇中と同じくらいの歳の差で含めて相乗効果があったんじゃないでしょうか。
脇を固めるのは、大原さやかさん、坂本真綾さん、内山夕実さん、植田佳奈さんら、実力派が揃っていて、ひたすら物語に集中できるでしょう。

自分は家族の情にとても薄いのですが、このアニメの視聴後感は爽やかで、とても良かったです。

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